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坂東眞理子 女性を輝かせる「期待、機会、鍛える」 

『衆知』編集部

2016年08月12日 公開 2023年01月19日 更新

女性社員

 

自立した新しい働き方が日本を活性化する

女性が活き活きと働ける社会の実現のために先頭に立ちながら、二児の母として子育てと仕事を両立させてきた坂東氏。女性を活かすために、企業や男性の側に意識の転換を迫るとともに、女性の側にもみずからの仕事に責任を持ち、働き方をマネジメントする能力を身につけるべきとアドバイスする。女性が仕事と家庭を両立させる心得、そして日本経済の活性化の鍵を握るともいわれる女性の人材育成の要諦とは?

坂東真理子

坂東眞理子(ばんどう・まりこ)
昭和女子大学理事長
1946年富山県生まれ。東京大学卒。1969年に総理府入省。内閣広報室参事官、男女共同参画室長、埼玉県副知事等を経て、1998年女性初の総領事(オーストラリア・ブリスベン)。2001年内閣府初代男女共同参画局長。2004年に昭和女子大学教授、2007年に同大学学長となり、2016年同大学理事長。著書にベストセラーとなった『女性の品格』『親の品格』(以上、PHP新書)ほか多数。

取材・構成:江森 孝
写真撮影:永井 浩

 

女性を育てるには3つの「き」が必要

近年では、日本の会社もずいぶん変わってきていると感じます。左団扇で優秀な男性が集まってくるような大企業はそれほどでもないでしょうが、ほとんどの企業では、かつてのように一生懸命働いてくれる男性社員を確保できなくなっています。人はいても「いい人材」が足りないのです。

そういう企業では、女性に本気で働いてもらわないと困りますし、一生懸命にきちんと働いて、いい仕事をしてくれる女性を育てることが、経営上の大きな課題になってきています。

では、どうすればいい人材を育てることができるのか。これは男性についてもいえることですが、女性を育てるには、私は3つの「き」が必要だと考えています。まず「期待する」。それから「機会を与える」。そして「鍛える」です。

最近の新卒採用に関して、「今は男子より女子のほうがずっと優秀だけれども、採用後、男子は伸びるのに、女子は伸びないし、すぐに辞めてしまう。だから、男子は少しぐらい出来が悪くても下駄を履かせて採用する」などと言われたりします。

けれどもそれは、採用後に男性社員にだけ「お前たちが会社の将来を支えるんだ」などと励まし、育てるからなのです。つまり、人というのは、期待されて、機会を与えられて、鍛えられることで育っていくのです。

だからぜひ、女性社員に対してもそうしてほしいと思います。しかし、男性の中間管理職あるいは中高年の方たちの多くは、まだ女性社員を育てるのに慣れていないように感じます。少しずつ変わり始めてはいるものの、多くの管理職は「厳しく怒ったら泣いてしまうんじゃないか」と、女性社員たちの反応を恐れているんです(笑)。

上司と部下もうまくいかなかったら、次はどうすればいいのか、互いに修正をすればいいのです。そうやって、部下だけでなく、上司も育っていかなければいけません。

グローバル時代に活躍するために大事なのは、新しいシチュエーションにたじろがないことです。だから男性上司も、女性部下にたじろがないでください。女性の側も、新しい土地や環境、仕事、とりわけ責任のある仕事に就くことにたじろいではいけません。

特にこれからの時代、働いている以上は、新しい仕事を与えられるのは当然のことです。それまで経験したことや、自信のあることしかできません、などと言っていては置いていかれてしまいます。新しい状況に一歩踏み出す勇気は、女性に絶対に必要ですし、それは男性にも会社にも持ってほしいと思います。

※本記事はマネジメント誌『衆知』2016年7・8月号、特集「世界で戦える人材の育て方」より、その一部を抜粋して掲載したものです。

 

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