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知らないうちに陥っている!? 教育費の大誤解

畠中雅子(ファイナンシャルプランナー)

2016年09月20日 公開 2023年09月12日 更新

 

せっかく続けてきた習い事は、やめたらムダになる?……×

 わが家では、中学受験を目指して、二人の息子を小学校2年生から学習塾に通わせていました。けれども、結局、地元の公立中学校に入学しました。二人とも、小学校6年生のときに「受験する?」と確認したら「したくない」と答えたからです。ママ友や学習塾の先生からは「なんで今さらやめるの?」「もったいない」と散々言われましたが、本人の意思を尊重したのです。

 どんな習い事でも、いったんレールに乗ったからといって、そのまま走り続ける必要はありません。「ここまで頑張ったのだから、今やめたらもったいない」という発想で、子供のためにならないお金の使い方をしてしまうことこそ、もったいない。やめたとしても、頑張った経験がムダになるわけではありません。

「子供のため」と思うと、つい支出にブレーキをかけにくいのが教育費。「やめる勇気」を大切にしましょう。

 

情報収集はママ友のネットワークがいい?……×

 情報収集するうえで注意しなくてはいけないのが情報源。子育てをしていると、どうしても同学年の親御さんとのつきあいばかりになりがちです。ただでさえ狭い地域や学校のコミュニティで、学年も同じとなると、ごく限られた情報しか入ってこないもの。しかも、受験などではライバル関係になるわけですから、「本当に有利な情報は教えたくない」という心理も働きます。

 ですから、できるだけ上の世代の、年長の子供がいる親御さんの話を聞くことが大切。そして、受験情報なら受験を考えている学校、助成金関係なら国や自治体など、正式な情報源に問い合わせることを忘れないようにしましょう。

 

教育資金は1,000万円単位で考えないとダメ?……×

 教育資金を貯められるのは、子供が小さくてお金がかからない小学校までの時期。ここで大学の資金を貯めて、そのうえで、高校までは年収の範囲で学費を出せるところに通う、というのが基本的なマネープランです。

 大学の資金として必要な具体的な金額は、文系の学部に4年間通った場合で、だいたい500万円。理系だと700万円で、理系の場合は修士課程まで通うことが多いので、そうすると1,000万円。さらに下宿して仕送りが必要になると……と、考えるとキリがありませんが、まずは基本となる500万円を目標に貯めることです。これなら、児童手当を貯金に回して200万円、貯蓄と学資保険で300万円、などと、それほどムリなく貯められます。

 1,000万円の単位で貯めることを考えると、金額が大きすぎて日々の生活に落とし込めず、かえって「結局200万円しか貯まらなかった」ということになりがちです。「まずは学資保険と児童手当で400万円。あとは貯蓄で100万円」と、100万円の単位で考えるようにしましょう。

 

自分で貯められなければ「学資保険」の活用を

 大学の資金として貯金していたつもりでも、ある程度貯まってくると、つい住宅ローンの繰り上げ返済に使ったりすることはよくあるもの。また、子供が小学校中学年以上になってくると、「友達が通っているから」と学習塾に行きたいと言い出すことが多い。すると、塾への行き帰りのための交通費や、その途中での飲食代にもお金がかかって、貯金が難しくなってくる。そうならないためには学資保険に入るのも有効だ。学資保険とは、毎月保険料を支払って、子供が大学に入学するときや在学中に学資金として給付を受け取るもの。これを使えば、いわば強制的に教育費を貯金できるわけだ。ソニー生命など、マイナス金利の影響で学資保険の販売停止を検討している保険会社もあるが、明治安田生命や日本生命などは、今のところ販売を継続している。

 

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著者紹介

畠中雅子(はたなか・まさこ)

ファイナンシャルプランナー

1963年、東京都生まれ。大学時代からフリーライターとしての活動を始め、長女を出産したことをきっかけにマネー分野を専門とするライターになる。長女出産の翌年、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。現在は新聞、雑誌、WEBなどに多数の連載やレギュラー執筆を持つとともに、セミナー講師、講演などを行なう。社会人の娘、大学生と高校生の息子を持ち、実体験に基づく的確なアドバイスに定評がある。『サヨナラ お金の不安』(主婦の友社)など、著書多数。

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