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澤田秀雄×松下正幸 企業の成長発展は「経営理念」と「人」に尽きる

『衆知』編集部

2016年10月17日 公開 2024年12月16日 更新

澤田秀雄×松下正幸 企業の成長発展は「経営理念」と「人」に尽きる

 

「志」対談

澤田秀雄(エイチ・アイ・エス会長)
さわだ・ひでお。1951年生まれ。1980年旅行会社インターナショナルツアーズを設立し、1990年社名をエイチ・アイ・エスに改称。1996年スカイマークエアラインズ(現スカイマーク)設立。同年ウォーターマークホテルをオープン。2003年モンゴルAG銀行(現ハーン銀行)会長に就任。2010年ハウステンボス社長に就任。

松下正幸 パナソニック副会長、PHP研究所会長
まつした・まさゆき。1945年生まれ。1968年慶應義塾大学経済学部卒。1968年松下電器産業入社後、海外留学。1996年に同社副社長就任。2000年から副会長。関西経済連合会の副会長を務める一方で、サッカーJリーグのガンバ大阪の取締役(非常勤)を務めるなど、文化・教育・スポーツの分野にも貢献する。

取材・構成:高野朋美
写真撮影:白岩貞昭

 

フロンティア精神で「創造変化・発展」に挑む

地域や時代で経営の基本を変えない

松下 H.I.S.さんはグローバルに事業を展開していらっしゃるので、外国人スタッフも多いですよね。そうした方々に対し、どのように理念を浸透させておられるのでしょうか。言葉の壁など、いろいろと課題があるかと思います。

澤田 海外には現在、200以上の店舗があります。理念やポリシーについては、現地の言葉に翻訳して伝えていますが、唱和するという点は日本と変わりません。考え方の基本、つまり理念の重要性は全世界どこでも同じだと考えているからです。

松下 どんな地域、どんな時代にあっても基本は変わらないし、変えてはいけないというわけですね。

澤田 はい。しかし、事業の内容や手法は、地域や時代に合わせて変えなければなりません。私が旅行業を始めた頃は、電話と手書きがほとんどでしたが、今はパソコンやスマホが主流。そんな中、企業もまた時代に合わせて変化していかなければ、とても生き残れません。

松下 理念のような基本は変えない一方で、事業や手法といった戦略は変えるということですね。しかし、どこまでが基本で、どこからが戦略なのか、その線引きが難しい気がします。戦略と基本を見誤った結果、時代に合わなくなって失敗したという例はないのでしょうか。

澤田 私が最も怖いと思っているのは、時代に合わせようとするあまり、基本を考えずに利益の追求に走ってしまうことです。企業にとって利益はもちろん大切ですし、会社を大きくしていくことも大切です。でも、世のため社会のためという基本から外れて規模や利益を追い求めると、利益のためなら不正やごまかしをしてもいい、という気持ちが生まれます。これでは本末転倒です。

失敗についても同じことが言えると思います。私は、基本にのっとってチャレンジし、失敗するのであれば、それは許せる失敗だと思っています。そこから学んで次に活かせば、長い目で見た時に成功につながるからです。たとえ利益が上がらなくても、基本を忘れた成功より、基本に沿った失敗のほうを重視しています。

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若い世代に伝わる表現が必要

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