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生き方

目標を実現できる人、できない人~現状維持の人生にイノベーションをもたらす方法

久野和禎(プロコーチ)

2017年01月20日 公開 2017年01月27日 更新

なぜ「年収1500万円」は目標にならないのか?

ゴールを設定するときは、「このゴールは現状の外か」ということを常に意識してください。

ちなみに、「年収1500万円」は高いようでいて、現状の外にあるゴールではありません。もし今いる会社で順調に出世して社長になれば、おそらく実現可能な年収だからです(自分が所属する会社の社長の年収が2500万円の場合も同じことです。その場合には、1500を2500と置き換えて読み進めてください)。

たしかに社長になるのは簡単ではありませんが、現状を続けていけばたどり着く可能性のある、いわば現状の延長であることには変わりありません。実現できるかどうかは「確率の問題」といってもいいすぎではないでしょう。単にサラリーマン社会の価値観として「社長を目指す」だけなら、それは現状を超えて突き抜けるゴールドビジョンとはいえません。

もうひとつ、とくに大事なのは、そのゴールが心からやりたいことなのかどうか、という点です。

「年収5000万円」という数字だけを追いかけても意味がありません。もしFXや宝くじで「年収5000万円」を実現したとしても、それは本当の意味でゴールを実現したということになるでしょうか。

「TOEIC950点」も同じです。スコアだけ高くても、高い英語力を使って何をやりたいのかという目的がなければ、ただの自己満足で終わってしまいます。

では、「自分が心からやりたいことをビジネスにして独立起業、それで年収5000万円を稼ぐ」というゴールならどうでしょう。

あるいは、「毎月海外出張をするような仕事に就いて海外を飛び回るために、TOEIC950点は欲しい」というゴールであれば、単に「950点を取る」ために勉強するよりも、ずっとやる気が出るはずです。実際に海外で仕事をしている自分を強くイメージすることで、より高いエネルギーで英語の習得に励めるでしょう。

要するに、脳がゴール実現に向けて働くようにするために必要なことは、たった2つだけなのです。

● いいゴールを設定すること
● ゴールの世界のコンフォートゾーンの臨場感を高めること

現状を突き抜けたゴールを設定し、ゴールの世界の臨場感が十分に高まると、自分にとって重要なものが変わり、脳は「今のままではゴールを実現できない」と無意識に考え、重要なこと、すなわちゴール実現に必要なことしか見えなくなって、ゴールに向かって進むエネルギーを自然と生み出します。

「現状」というコンフォートゾーンよりもゴールの世界のコンフォートゾーンの臨場感のほうが高ければ、脳はそちらへ全力で向かおうとする、ということなのです。

 

もうひとりの自分、「無意識くん」を味方につける

ここで重要なことは、「脳が『今のままではゴールを実現できない』と無意識に考える」というところです。

無意識に考える、つまり、自分では意識していなくても自然とそうなっている状態といえます。

たとえば、呼吸をするとき、私たちは常にそのことを意識しているわけではありません。心臓もまた、無意識のうちに動いています。それと同じレベルで、ゴールの世界の臨場感を無意識に感じ、脳が勝手にそちらへ向かおうとする状態にするのです。

この無意識は、いってみれば、「無意識くん」とでも呼ぶべき、もうひとりの自分です。そしてゴール実現のためには、「無意識くん」を味方につける必要があります。

「稼ぎたい」「売りたい」と思えば思うほどそれができなくなるのは、「無意識くん」が「稼いでいない」「売れていない」状態をコンフォートゾーンとして認識しているからです。

ですから、「稼いでいるのが当たり前」「売れているのが当たり前」と「無意識くん」が思えるようにすれば、脳は自動的に「(そうなっていない)今の状態は自分らしくない」と考え、そうあるべき「稼いでいる」「売れている」自分になるように強いエネルギーを生み出します。

ちなみに、「自分はきっと稼げるようになる!」「自分は必ず売れるようになる!」と自分に言い聞かせている段階では、まだ「無意識くん」はそう思ってくれてはいません。1%の迷いもなく、呼吸や心臓の鼓動と同じぐらい当たり前のこととして、「自分は稼いでいる」「自分は売れている」と思っている状態が目指す姿です。

いかに「無意識くん」をその気にさせるかは、ゴールドビジョン実現の大きなポイントになります。まずは、もうひとりの自分である「無意識くん」の存在を意識することから始めてみてください。

 

本記事は久野和禎著『思い描いた未来が現実になる ゴールドビジョン』(PHP研究所刊)より一部を抜粋し、編集したものです。

著者紹介

久野和禎(ひさの・かずよし)

プロコーチ

コノウェイ株式会社代表取締役。一般社団法人コグニティブコーチング協会副代表。プロコーチ。
1974年、横浜市生まれ。東京大学経済学部卒。筑波大学MBA(International Business専攻)。幼少期をサンフランシスコ、中学高校生時代をロンドンで過ごす。大学卒業後に起業し、2社を並行して経営した後に人材系企業を経て、複数の外資系大企業(タイコエレクトロニクス〈米〉、フィリップス〈蘭〉、ビューローベリタス〈仏〉)で多様なマネジメントポジションを担う。その後、ProFuture を経て、2015 年12 月にコーチングを軸としてコンサルティングを加えたサービスを提供する総合経営支援企業、コノウェイ株式会社を創業。全米で数多くの企業・組織に導入されているルー・タイス氏の手法と、苫米地英人氏から学んだ認知科学の知見を融合させ、独自の目標実現メソッド「ゴールドビジョン・メソッド」を開発。大企業役員、中小企業社長、マネージャー、現場のビジネスパーソンまで幅広い対象のクライアント層に対してコーチングを行なっており、グループ、マンツーマンで1000人以上に対してのコーチング実績を有する。企業に対しては、個々の強みを活かしながら組織にハイパフォーマンスカルチャーを醸成・定着させることを得意とする。テンプル大学にて認知心理学(コーチング)の講義を担当。

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