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「ロジカルに考える」とは?

岡重文(グロービス経営大学院教授)

2017年10月19日 公開 2024年12月16日 更新

何のための「ロジカル」か

ロジカルだけでは不十分だが、ロジカルでなければ始まらない

ロジカルシンキングそもそも何のために「ロジカル」である必要があるのか、考えておきましょう。

「ロジカル」の話になると、
・ロジカルだけでは通じないよな
・理屈だけでは物事は動かないよな
・感情も大事だよな

といった、「ロジカルだけでは不十分」という声がよく聞こえてきます。

もちろん、「合理と情理」「論理と感情」など、「ロジカルではないこと」が必要という話を否定するつもりは全くありません。しかし、これらの声が得てして、「ロジカルでなくてもいいではないか」という逃げ道のように使われることに、問題意識を持つ必要があります。

論理だけでは動かないという状態は、論理的には問題がないけれど、感情的に受け容れられないから動かないということであって、論理は不要という話ではありません。人は基本的には頭で理屈を考える動物ですので、論理的に納得できないものを受け容れることにはそもそも抵抗があるものです。論理的でなければ、そもそも検討の俎上に載ることすらできない可能性があることを理解しておきましょう。
 

「よりよい成果に近づくこと」が目的

なぜロジカルであるといいのかを考える代わりに、ロジカルでない場合にどのような不都合が起こるかを考えてみましょう。ロジカルでないというのは、主張に対して納得感がある根拠がないということです。

まず、あなたの主張と根拠を聞いても、残念ながら多くの人はすぐには理解できません。理解をしてもらうために、さまざまな説明が必要となるでしょう。

また、場合によっては、聞いた人から、根拠が弱いと指摘を受けたり、こんな根拠を調べる必要があるのではとアドバイスをもらうかもしれません。いずれにせよ、あなたの不十分な根拠のために、それらを指摘したり、どう補強すればいいのか考えたりするために周りの人の時間を使ってしまうことになります。

ですので、どのような指摘を受けることになりそうかというところまで、自分自身でしっかり押さえ、補強できるところは補強して臨む、もし、補強ができなければ、一部甘い個所があるというところまで同時に示し、あら探しのための時間を周りの人に使わせることなく、ある一定レベルの状態から議論がスタートできるようにしましょう。

そして、周りの人と共有していく目的は、よりよい成果を生み出すためです。あなたが考えたものがそのまま承認されることも望ましいことではありますが、よりよい成果ということを考えると、あなたが考えたことをたたき台として、「さらによい考え」があなたの考えに乗っていくことが理想です。また、元来、他の人の頭を使うということは、自分にはなかった視点や発想が加わるということですので、よりよいモノになる可能性は十分あります。

であれば、あなたが考えていることを説明して、理解を得るための時間は極力短くできるように準備すること、あなたの考えてきたことに新たな考えが乗るような土台をしっかりとつくることに時間を使うように意識していきましょう。

※本記事は、『[ポケットMBA]ロジカルシンキング』(PHPビジネス新書)より、一部を抜粋したものです。

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