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雨が降る前に頭痛がするのはなぜ!?

佐藤 純(医師/医学博士)

2017年09月26日 公開 2023年09月08日 更新

 

日記とツボ押しで天気痛の予防&対策を

 そもそも、気圧の変化には男性より女性のほうが敏感らしく、天気痛は30~50代の女性に多い症状でした。しかし、最近は「隠れ天気痛」の男性も増えています。天気痛に限ったことではありませんが、一般的に男性は、痛みの症状を我慢しやすく、だるくてもなかなか言い出せない傾向にあり、重症化してから病院に行きがちです。

 天気痛の症状は、天気痛なのか、単なる疲労なのか、ストレスが原因の体調不良なのか判断しづらい部分もあります。ですから、めまいやふらつき、古傷の痛みなどがあったら、まずはセルフチェックをしてみましょう。

 その判断をするためにお勧めしているのが「痛み日記」です。その日の天気や気圧、体調、痛みの強さ・弱さの度合い、痛みの場所など、1カ月間メモを取ってください。「これから具合が悪くなりそうな気がする」といった予兆も合わせてつけるとよりよいでしょう。日記をつけることで、自分の体調の波を客観的に知ることができ、どんなときに痛みが出るかがわかれば、症状が表われる前に対策を打つことができるようになります。

 なお、スマートフォンアプリ「頭痛ーる」を使えば、気圧変化が予想できるので、体調管理がラクになるでしょう。

 また、自律神経を整えるために、身体に軽い温度ストレスをかけるのもいいでしょう。湯船につかって身体を温める、軽いウォーキングをするなど、意識的に体温の上げ下げをして、汗をかける身体を作るようにしてください(高温の風呂、激しいジョギングなどで、一度に大量の汗をかくことはお勧めできません)。普段から温度に対するストレス耐性をつけておけば、いざというときの天気の変化にも対応できるようになります。

 さらに、天気痛による不調が出そうと感じたときにお勧めなのが、耳の血行を促す「くるくる耳マッサージ」(下記参考)。これにより、天気痛の原因ともなる内耳の敏感さを緩和できます。また、不調が出たときの対策としては、両手首の内側にある「内関」というツボを刺激すること(下記参考)。酔い止めに効くツボですが、めまいやふらつき対策にもなります。

 人間は天気の変化から逃れることはできません。だからこそ、天気の変化と上手に向き合いながら、痛みが出る可能性をうまく減らすことが大切です。そして、日常生活において自律神経を甘やかさず、気圧変動に耐える身体作りをして、上手に天気痛とつき合っていただければと思います。

 

耳を刺激する「くるくる耳マッサージ」
耳を刺激することで、内耳のむくみや、その周辺の血行不良を緩和し、耳の血行を促進するためのマッサージ。痛み日記などで、不調の前兆を察知したら、以下の6つのマッサージを順番に試してみよう(両耳同時に行なう)。

①耳の上部をつまんで、上に引っ張る
耳の上部を軽くつまみ、痛みが出ない程度に上に引っ張り、その状態を5秒間キープする。

②耳たぶをつまんで、下に引っ張る
耳たぶ(耳の下部)をつまんで、下方向に軽く引っ張る。その状態を5秒間キープする

③耳の中央をつまんで、真横に引っ張る
耳のちょうど真ん中あたりを持ち、軽くつまんで真横に引っ張る。その状態を5秒間キープする。

④耳の中央をつまみ、後ろ方向へ回す
③と同じ位置で耳をつまみ、軽く引っ張りながら、くるくると後ろ方向へ5回、ゆっくり回す。

⑤耳を上下に折り曲げて、5秒間キープする
耳の後方から手を当て、人差し指を耳の上に、親指を耳たぶ付近に沿えて、上下が合わさるように耳をやさしく折り畳む。その状態を5秒間キープする。

⑥手のひらで耳を覆い、後ろ方向へ回す
空気を含ませるように手のひらに膨らみを持たせ、耳の横から、ゆっくりと耳を覆う。その状態で、後ろ方向に引っ張るように、手のひらで5回、ゆっくりと回す。

即効性のある「内関」ツボ押し
酔い止めに効くツボ「内関」は、手首から指3本の場所にある(人差し指、中指、薬指の3本を、反対の手首に薬指を起点にして置いたときの人差し指の位置あたり)。人によって違うので、その近くを反対の親指で押してみて、痛気持ちよい場所があったらツボの位置。

≪取材・構成:編集部≫
≪『THE21』2017年9月号より≫

著者紹介

佐藤 純(さとう・じゅん)

医師/医学博士

1958年、福岡県生まれ。83年に東海大学医学部卒業後、名古屋大学大学院研究科で疼痛生理学、環境生理学を学ぶ。米・ノースカロライナ大学留学、名古屋大学教授を経て、2016年より、愛知医科大学・学際的痛みセンター客員教授。2005年より、愛知医科大学・学際的痛みセンターで「天気痛外来」を開設。天気痛研究・診療の第一人者として、テレビ番組や雑誌などで活躍。著書に、『天気痛』(光文社新書)など。

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