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雨が降る前に頭痛がするのはなぜ!?

佐藤 純(医師/医学博士)

2017年09月26日 公開 2023年09月08日 更新

 

クーラーが天気痛の原因に!?

 体質的なことに加え、外的要因として上げられるのが生活環境の変化と異常気象です。

 たとえば、ペットが雨の前になると落ち着かなくなるように、動物には雨を察知し、身を守るという本能が備わっています。しかし人間は、汗をかきたくない、湿気から逃れたいなどと、クーラーが効いた部屋から出てこなかったり、寒さを感じないように身体を温めるインナーを愛用するなどして、環境的なストレスを取り除こうとした結果、自律神経の反応が鈍くなり、小さなストレスにも過剰に反応するようになってしまいました。

 また、人間の行動範囲が広がったことも見逃せません。昔は、飛行機や新幹線のような高速移動手段はなく、ゆっくりと環境に身体をならしていけました。しかし今は、飛行機や新幹線だけでなく、高層ビルのエレベーターや地下鉄のトンネルなど、日常生活の中でも気圧の変化が生じる場所が多い。天気痛とは、快適・便利を追求した結果生じた現代病でもあると言えます。

 さらに、世界的な気候の変化も外せない要因。たとえば、温暖化で海水温が上昇したことにより、かつては熱帯で生まれていた台風が、近年は比較的日本の近くでも発生するようになりました。遠くで生まれた台風は、日本に来るまでの間に勢力が落ちて気圧変化が小さくなっていたのですが、近くで発生した台風はそのパワーを維持したまま日本列島を通過する。そんな台風が一年にいくつもやってくるのです。

 このようなさまざまな要因が重なり、現代人にとって天気痛は決して珍しい病気ではなくなってきていると感じます。

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日記とツボ押しで天気痛の予防&対策を

著者紹介

佐藤 純(さとう・じゅん)

医師/医学博士

1958年、福岡県生まれ。83年に東海大学医学部卒業後、名古屋大学大学院研究科で疼痛生理学、環境生理学を学ぶ。米・ノースカロライナ大学留学、名古屋大学教授を経て、2016年より、愛知医科大学・学際的痛みセンター客員教授。2005年より、愛知医科大学・学際的痛みセンターで「天気痛外来」を開設。天気痛研究・診療の第一人者として、テレビ番組や雑誌などで活躍。著書に、『天気痛』(光文社新書)など。

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