雨が降る前に頭痛がするのはなぜ!?
2017年09月26日 公開 2023年09月08日 更新
季節の変わり目に起こる「天気痛」とは?
雨が降りそうになると頭痛がする……。季節の変わり目はなんとなくだるい……。そんな症状を持つ人は多いのではないだろうか。こんなふうに、天気によって体調が左右されるのは、「天気痛」の可能性があるという。この分野の第一人者である佐藤純氏に、天気痛の特徴と予防、対策についてうかがった。
季節の変わり目に体調が悪いのはなぜ?
季節の変わり目や台風の時季になると、頭痛やめまいがしたり、妙にだるくなったり、古傷が痛んだりする……そんな症状に悩む人が、近年増えてきているようです。
これは、気圧の変化によって起こる「天気痛」の可能性があります。天気痛とは、急激な天気の変化によって表出する痛みや気分障害のこと。とくに天気が変わりやすい春や低気圧の続く梅雨、台風の多い秋などに多く見られ、雨が降る少し前から体調を崩し始める人が多いのが特徴です。
医療現場では「気象病」と呼ばれており、その中でも、痛みや気分障害にまつわるものを、私が「天気痛」と名づけました。
実はこういった症状は昔からあるのですが、近年は、生活環境の変化などで身体のストレス耐性が弱くなったことに加え、大型台風やゲリラ豪雨といった激しい天気の変化が頻繁に起こるようになり、天気痛の症状が表われる人が増えてきました。
そもそも、なぜこのような症状が起こるかというと、それには「耳」と「自律神経」が大きく関わっています。耳の奥には「内耳(ないじ)」と呼ばれる部分があり、外部からの気圧の変化を感知するセンサーのような役割をしています。気圧が変動すると、内耳はその感覚を脳に伝えるのですが、内耳が敏感だと、これが脳にとっては大きなストレスとなり、自律神経が大きく乱れるのです。
自律神経には、心身を活動的な方向に促す「交感神経」と、興奮した身体や精神を落ち着かせる「副交感神経」があり、両者のバランスが取れた状態がベスト。ところが、雨が降る前などに気圧が下がってくると、内耳を通してストレスを感じ、自律神経が混乱します。これにより、交感神経が刺激されると、心拍数や血圧が上がって興奮状態になり、頭痛やめまい、慢性痛などの症状が出てくるようになります。一方、副交感神経が刺激されると身体が休息モードに入り、強い眠気やだるさに襲われると考えられます。
つまり、クルマや船で酔いやすいなど、内耳の揺れに弱く耳が敏感な人や、ストレスを感じやすく自律神経が乱れがちな人は、天気痛になりやすいとも言えます。