思い切って実行すること ~ 松下幸之助 前を向く人生の歩き方
2018年03月12日 公開 2024年12月16日 更新
失敗することを恐れるよりも、真剣でないことを恐れたい
人生でも仕事でも、いろいろ問題が起こります。それらに対し、常に明快な答えが出せるということはありません。右にしようか左にしようかと迷うのが一般的な姿でしょう。とはいえ、迷いに迷い、躊躇して立ち止まっているだけでは何も変わりません。むしろ状況がさらに深刻になるだけです。ある程度考え、検討したならば、まず歩き出してみること、実行してみることが大事です。100点とはいかない。でも60点ぐらいはとれそうだと思ったら、やってみる価値は十分にあります。ともかく前を向いて一歩踏み出してみることからすべてが始まるのです。
「先のことは誰にもわかりません。そのわからないところに、一面人生の妙味というか味わいもあるわけですから、私たちは、あれこれと思いをめぐらし、考えることもそれはそれとして大事にしなければなりませんが、しかしある程度考えたあとは、“これはもう仕方がない。ここまできたのだから、もうこれ以上進んで結果がうまくいかなくてもそれは運命だ。とにかくこのままやってみよう”というように、まず実際に行動してみる、そこからまた予想とは異なったいい結果、そして違った自分というものが生まれてくるのではないかと思うのです」(「『PHP』昭和58年11月号 <折々の記>」)
もちろん慎重に問題を分析し、検討することも大事です。何も考えず見通しも立てずに実行するのは無謀でしかありません。しかしある程度の見通し、計画を立てているにもかかわらず、何もしないというのは勇気のない姿でしょう。勇気をもってまずはやってみる。そこから新たな道も見えてくるのではないでしょうか。その思い切りが、前向きな歩みにつながっていくはずです。
松下幸之助は次のようにも言っています。
「言うべくして行いがたきは実行だ。毎日学問し、いかによいことを知ったとて、永遠に寝ていたのでは何の役にも立たない。学んだところを立ち上がって実行に移してこそ、世を益し自己の成功も望まれるのである。物事を学び知っただけ全部実行できたなら神様のようなものであるが、せめて一つでも二つでもぜひ実行の人となりたいものである」(『松下幸之助発言集 第29巻』)
実行することが大事だとはわかっているけれど、「もし失敗したら……」と考えると実行に移せないという人が多いかもしれません。それも人情としてごく自然な姿でしょう。しかし、ミスや失敗は恐れるものではなく、その際にどう対処するか、どう向き合うかということではないでしょうか。
要は、いかに気持ちを切り替えるかです。失敗をしたらやり直せばいい。転んだら立ってまた歩き出せばいい。赤ん坊だってそうしている。大人である我々にできないはずがない。幸之助はそう言います。
「転んだら立たねばならぬ。赤ん坊でも転んだままではいない。すぐ立ちあがる」(『松下幸之助 日々のことば』)
さらに、失敗したといって立ち止まっていたのでは、その失敗は何の役にも立たなくなってしまいます。昔から“失敗は成功の母”といいます。失敗を前向きに受け止め、それを踏まえて次に成果を上げることができれば、その失敗は成功のためのステップであり、決して失敗ではないということになります。
失敗も成功の糧にするというほどの真剣な思いを持っていたなら、何事にも挑戦することができるようになるはずです。言い換えれば、真剣さ、熱意、情熱があってこそ、人は前向きに歩いていくことができるというわけです。お互い、どれほど真剣に物事に当たっているか、時に顧みたいものです。幸之助は言います。
「失敗することを恐れるよりも、真剣でないことを恐れたい」(『松下幸之助 日々のことば』)
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