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日本人が知っておくべき『チベット 自由への闘い』

櫻井よしこ(ジャーナリスト)

2018年01月29日 公開 2022年12月21日 更新

チベットと日本には多くの共通点がある

本書のテーマはチベットである。チベット人の心の指導者であるダライ・ラマ法王14世、チベット亡命政権の首席大臣ロブサン・センゲ氏らとの出会いは、私にあらためて強固な信念を与えてくれた。チベット人がチベット人としての生き方を全うできる国際社会を創ることが、私たちの望む良き国際社会のあり方に通じるのであると。

チベット人がチベット人らしく、モンゴル人がモンゴル人らしく、またウイグル人がウイグル人らしく、さらにいえば台湾人が台湾人らしく生きることのできる国際社会は、日本人もまた、日本人らしく生きることのできる社会であるということだ。

本書の主役はチベットとチベット人であるが、チベットの運命を脅かす中華人民共和国も、もう一方の重要な主役である。

チベット人がチベット人らしく生きていける国際社会を創ろうと問題提起することは、中国の様々な脅威に全身を晒すことでもある。それでも私たちは、人間が人間らしく、民族が民族らしく、国が国らしく生き、存在することができるように勇気を持って発言しなければならない。

チベット人も、その他の弾圧されている民族も、さらには日本人も、勇気を奮い起こし、信念を持って、自分らしい道を歩みつづけなければならない。それは最終的に中国の人びとと中国のためにもなると信じてやまない。

チベットと日本には、国の本質や中国との関係のあり方など、多くの共通点がある。チベットの人びとに深い友情を抱きながら重ねてきた交流の一端を、この書を通して読者の皆さまと共有できれば嬉しく思う。

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