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「13日の金曜日」は本当に不吉? 経済の視点から読み解いてみた

門倉貴史(BRICs経済研究所代表)

2011年12月16日 公開 2022年11月02日 更新

「13日の金曜日」は本当に不吉? 経済の視点から読み解いてみた

宝くじをつい買ってしまう理由、合コンの必勝法など「ぜんぶ、経済学で語れちゃうんです。」と門倉貴史氏は言います。

身近で誰かに話したくなる話題を入り口に、経済は楽しく理解することができます。

欧米の多くの人は「13日の金曜日」が訪れると、何か自分に不幸な出来事が起こるのではないかと恐れていますが、経済の面からどのようなものが見えてくるのでしょうか...

※本稿は、門倉貴史著 『必ず誰かに話したくなる経済学』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

 

ジェイソンが登場するホラー映画でも有名な「13日の金曜日」ですが……

経済損失は約8億~9億ドル。

殺人鬼のジェイソンが登場するホラー映画でも有名になっていますが、欧米諸国において一般に「13日の金曜日」は不吉な日とされています。というのも「13日の金曜日」は、イエス・キリストが礫刑(たつけい)に処せられた日付と重なるからです。

欧米の多くの人は「13日の金曜日」が訪れると、何か自分に不幸な出来事が起こるのではないかと恐れています。

欧米には「13日の金曜日症候群」という病気もあって、この病気にかかった人は、「13日の金曜日」になると急に体調を崩してしまうそうです。実際、過去には「13日の金曜日」に不幸な事件も発生しています。

たとえば、2010年8月13日(金)には、英国で航空ショーを見物していた13歳の少年が落雷にあうという事件がありました。しかも、その時刻は「13日の金曜日」の13時13分であったということです。

ある調査によると、米国の場合、約1700万人から約2100万人の人たちが「13日の金曜日」を本気で恐れていると推計されています。

そして、「13日の金曜日」には、飛行機や自動車で出かけるのを控えたり、日課にしていることをしなかったりするため、1日だけで約8億ドルから約9億ドルもの経済損失が発生するということです。

 

確率から見た「13日の金曜日」

では、本当に「13日の金曜日」は不吉といえるのでしょうか。確率的な側面から見ると、意外な事実が見えてきます。

オランダの保険統計センター(CVS)が、2008年6月12日に発表したレポートによると、「13日の金曜日」は不吉どころか、13日に重ならない金曜日に比べてむしろ安全であることが判明しました。

CVSは、過去2年間の金曜日に、オランダの保険会社が受けた交通事故の報告件数を調べました。その結果、すべての金曜日の事故報告件数は1日あたり7800件、それに対して「13日の金曜日」の事故報告件数は1日あたり7500件であることがわかったのです。

つまり「13日の金曜日」のほうが事故の発生が相対的に少ないということになります。ちなみに、毎月13日が金曜日と重なる統計的な確率は7分の1です。ただ、なぜ「13日の金曜日」が確率的に安全であるのかという理由は、はっきりとはわかっていません。

「13日の金曜日」に事故や火事、盗難の発生件数が少なくなるのは、人々が不吉なことを恐れるあまり、異常に注意深くなったり、外出を控えるからではないかという人もいますが、CVSはそれが原因とは考えにくいとしています。

いずれにせよ、確率的な観点からいえば、「13日の金曜日」にマイカーで職場に出かけることは、他の金曜日と比べて(少しは)安全であると言えそうです。

では、金融マーケットについてはどうでしょうか。過去10年間の米国の株価の動きを見ると、「13日の金曜日」は63%の確率で株価が上昇していることがわかります。

「13日の金曜日」の株価の平均上昇率はプラス0.5%です。冷静に考えれば、金融マーケットでも「13日の金曜日」のジンクスは当てはまらず、むしろ縁起のいい日であるといえそうです。

 

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