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プロ棋士・羽生善治の「勝利の思考法」

2018年01月05日 公開

羽生善治(将棋棋士)

羽生善治の思考法

※本稿は、羽生善治著『100年インタビュー 才能とは続けられること』(PHP研究所) より、内容を一部抜粋・編集したものです。

今日勝つ確率が高いというやり方は、10年後には一番リスクが高くなるといえるでしょう。時代に取り残されて、進歩していないことになってしまうからです。

目の前の勝利は、とても大事なことではあるけれど、私はあえてリスクをとる。

たとえ結果がついてこなくても、自分なりの発見や、得るものがあれば、それは自分が充実することであり、とてもうれしいことです。

 

どんなときもあせらず冷静に

プロ棋士たちの実力というのは、じつはあまり差がなくて、いつもギリギリのところで戦っています。対局後に行われる感想戦で、互いの読み筋などを語り合う時間があるのですが、そこで大きな食い違いや、開きを感じることはほとんどありません。

では勝敗を決める差は何かといえば、精神力が大きいのではないかと思います。重要な局面になればなるほど、精神力が勝敗を左右する。

人間には2通りの考えがあると思うのです。不利な状況を喜べる人間と、喜べない人間。

将棋の対局にピンチはつきもので、頭の中で考えている90パーセントは自分にとって不利な局面です。

私もやはり落ち込みますが、相手の棋風や出方を考えることよりも、冷静に、そして自分のペースを守ることのほうに神経を集中させます。

たとえ不利な局面でも、あまり落胆せずに淡々と指していく。ここが勝負のツボを見いだすポイントで、逆転に必要な直感やひらめきを導き出す道筋となるのではないかと思っています。

 

集中するために空白の時間をつくる

集中力というのは、人に教えてもらったり聞いたりして身に付くものではありません。集中できる環境を自らつくりだすことが大事だと思っています。

私の場合、集中するために、対局前は必ず頭を休ませます。人によっては、将棋の研究をして将棋づけになっている人もいますが、私は頭の中を空っぽにし、ボーッとできる空自の時間をつくるように心掛けています。

窓の外の風景を眺めたり、将棋とは関係ない本を読んだり、散歩をしたり、音楽を聴いたり、とにかく頭の中に空きスペースをつくり、将棋のことは一切、切り離します。

対局の数が非常に多かったりすると、いかに将棋に集中するかより、いかに日常生活に戻るかということに重点をおくほどです。

それと集中力を持続させるために必要なのが、体力です。

将棋は盤の前に座ってただひたすら考えているだけで、体を激しく動かすこともしませんから意外に思われるかもしれませんが、対局中はとても体力を消耗します。一局を戦い終わると、私なんかは体重が2~3キロ落ちています。

2日にわたって行われるタイトル戦になると、持ち時間が九時間という長丁場です。対局中、考える力はまだ残っているのに、体力がもたなくて最後まで頑張りきることができなくなってしまうこともあるくらいなんです。

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感情は無理に押しころさず自然に受け止める >

著者紹介

羽生善治(はぶ・よしはる)

将棋棋士

1970年、埼玉県生まれ。二上達也九段門下。85年、中学3年生のときにプロ入り。89年、19歳で初のタイトル竜王を獲得。96年、史上初のタイトル7冠(名人・竜王・棋聖・王位・王座・棋王・王将)を果たす。2017年、永世7冠を達成。18年、国民栄誉賞受賞。著書に、『決断力』『大局観』(以上、角川書店)、『直感力』『捨てる力』(以上、PHP研究所)など。

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