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SpotifyとCDは共存するのか? 定額制ストリーミング時代のパッケージの生き方

2018年05月21日 公開

山口哲一(エンターテック・エバンジェリスト/音楽プロデューサー)

山口哲一(エンターテック・エバンジェリスト/音楽プロデューサー)

 

CDを売りたければCDプレイヤーとセットにするしかない

最近、レコード会社の経営陣の方と話す時に必ず言うことがあります。

ほとんどのアーティストが作品をリリースする際に購入促進のために「初回版購入特典を行っていますので、「お願いだから、アルバムの初回購入特典をCDプレイヤーにしてください」と。

例えば、ビクターエンタテインメントなら、「斉藤和義のアルバムでは、アーティストモデルのCDプレイヤーを初回特典にしましょう。あら便利!なんと斉藤和義モデルのCDプレイヤーでは、家入レオのCDも聴けるんですよ!」(笑)

レコード会社が必死になってCDを売ることはよいことですが、気をつけないと、いま多くの人がCDの再生機器を持っていないということを見落としがちです。

PCからCDドライブがなくなっている昨今、自宅のCDプレイヤーが壊れた時に、買い替えてくださるユーザーは珍しくてありがたい方でしょう?
CDを売るためには改めて、プレイヤーから売る必要があることを音楽業界は知るべきです。

CDショップの方には「こんな品揃えの大型CD店は世界で稀有になっています。外国人にとっての観光スポットという認識を持ってもらって、日本のお土産品として日本人アーティストのCDを売りましょう。レジ横には必ずCDプレイヤーを置いてください」ともお願いしています。

 

日本市場の特殊性論のまやかし。定額聴き放題サービス普及は必然

マクロで見ると、日本の音楽市場はCDというパッケージの売上の割合が世界と比べて飛び抜けて大きいですが、パッケージ(CD)の市場は減少しています。

デジタル音楽市場は拡大しつつありますが、ダウンロード型は役割を終え、ストリーミングが牽引しています。SpotifyやApple Musicに代表される、いわゆるサブスクリプションと呼ばれる定額制サービスです。

コンサート収入も上昇傾向にあります。2016年はオリンピックの影響で大型スタジアムが同時に改修に入り会場が不足した影響で前年よりダウンしましたが、近年の上昇傾向は続いていて、パッケージ市場は上回っている状況です。

これらの傾向は欧米の市場では5年前から起こっていますが、日本もようやくその状況に追いつきつつあると言えます。そして、変化が先行するアメリカでは、音楽のダウンロード販売が急減しています。

アメリカレコード協会(RIAA)の発表によると2017年の音楽市場全体のなんと62%までをストリーミング(定額制)が占めました。2015年は33%だったわけで、ダウンロード販売が著しく減っていることがわかります。

単純に言えば、iTunesを使わなくなってApple MusicやSpotifyを利用しているということです。これが世界的なトレンドになっています。

未だに「山口さん、サブスクって普及するんですか?」と聞かれます。
もし、「日本でストリーミングは無理だよ」と言う方がいたら訊いてください。

「日本にfacebookが上陸したい時に、mixiがあるし、日本人には実名制は合わないから無理だよって言っていませんでしたか?」と。「Twitterは日本人に向いてないと言ってませんでしたか?」と。

日本の市場の特殊性論の、殆どはまやかしで、すでにストリーミングが流行るか否かの議論には意味が無いと僕は思っています。

海外と比較して、スマホ普及率が高く、通信環境も整備されていて、著作権意識の高いユーザーが多い日本で「だけ」、オンデマンド型音楽ストリーミングサービスが流行らない、論理的な理由はありません。

(次ページ:それでもパッケージを買う理由がある? CDよりもアナログレコードが売れる?)

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