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管理職だけがすべての決定を行う組織は衰退する

南和気(SAPジャパン株式会社 人事・人財ソリューションアドバイザリー本部 本部長)

2018年07月18日 公開 2022年08月08日 更新

 

グローバル人事を始めるための3つの課題

実際にグローバル人事を始めるためには、いったいなにをするべきなのでしょうか。課題は大きく3つあります。

■人材の需給をグローバルで把握すること……経営と人事の一体化

昨今、「タレントマネジメント」と盛んにいわれますが、そもそも、なんのために優秀な人材を採用したり、育成したりするのかというと、事業計画に合わせてタイムリーに必要な人材を供給できるよう、人材の需給のギャップを計画的に埋めていく目的があるからです。

特に重要なのが、「事業計画に沿って未来の人材の需要、ニーズが把握できているかどうか」という点です。海外を含め、ニーズを把握できていなければ、どんな人材を・いつまでに・何人・どのように育成すべきなのか、といったことが決められません。

「これから3年かけてアジア5拠点でグローバルビジネスを展開する」といった事業計画があって初めて、計画実行のためにどのようなリーダーが何人必要なのか、日本人だけでなく外国人も必要だ、といったことがわかってきます。

よく、「グローバル・リーダーとはいったいどのような人物なのか」という議論がありますが、それは闇雲にスーパーマンを育てようとするようなもので、あまり意味がありません。

「まずはアジア5拠点それぞれのビジネスを牽引できる人材と、アジア全体を統括できるリーダー候補者を選んでいく必要がある」という需要を具体的に把握し、「そのためにまずは部長職以上の人材と、海外法人での管理職経験がある人材について、日本とアジア全拠点、および事業の関連が深いヨーロッパを対象に詳細に把握しましょう」という具合に、人材の供給について具体的に考えなくてはいけません。

経営者は最も遠くが見えているはずです。そして人事は常に経営と同じ視点で、事業における人に関する需要、ニーズを把握し、数年後のあるべき姿を目指して、それに向けて計画的に経験を積ませたり、能力を高める機会を与えたりしなければなりません。

また、人事は、海外を含め、自社の社員についての情報をきちんと把握しておく必要があります。それぞれの社員が、どのような経験や能力、強みを持っているのか、詳細に把握していなければ、事業推進に適した人材の供給を計画することもできないからです。

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