人類史に刻まれる「第4次産業革命」が間もなく始まる
2018年08月29日 公開 2018年12月17日 更新
日本の家電産業の衰退は、デジタル化への乗り遅れが原因ではない
ここで確認しておきたいのは、"王国"とまでいわれた日本の家電産業が壊滅状態に陥ったのは決してデジタル化の影響ではないということです。
家電産業の衰退は、「世界市場よりも日本市場を優先」し、「世界での競争」よりも「日本人の雇用」を優先したことで、グローバル化が手遅れになってしまったために起きました。端的にいえば、産業構造の変化に社会が対応できなかったためです。
工業社会の進展で日本企業の人件費が上昇し、コスト競争力がなくなったことに気づき、海外移転を進めたのは「自然の流れ」といえます。
情報通信装置産業の衰退は、インターネットの技術革新を侮って独占と寡占の電話事業に執着したことに原因を見出せそうです。
その点、日本の自動車産業は、日米貿易摩擦の教訓から、手遅れになる前に海外移転を完了しており、工場の移転先の国家のGDP向上に貢献しています。
ただ、その自動車産業も現在は、いわゆる「CASE」(Connected〈コネクテッド〉、Autonomous〈自動運転〉、Shared & Services〈シェアリング〉、Electric〈電動化〉)の潮流のなかにあり、グーグルをはじめとする新興IT企業の挑戦を受け、将来にわたり磐石とはいえなくなりつつあります。
企業のITによる業務プロセス強化、業務の置き換えはすでに完了。現在は次のフェーズにある
こうした産業革命が、「革命」と呼ばれるのは、人びとの生活や社会システムを根本から変えてしまったからですが、現在進行中の第4次産業革命は、私たちの生活や社会に従来以上の大規模なインパクトを与えるでしょう。
第4次産業革命は、デジタルトランスフォーメーション革命だと述べましたが、デジタルトランスフォーメーションという言葉は、2004年頃に、スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱しました。
ストルターマン教授によれば、デジタル化には、次の3つのフェーズがあります。
デジタル化の第1フェーズが、ITを利用した業務プロセスの強化。
第2フェーズが、ITによる業務の置き換えで、たとえば、いまでは当たり前になっている「銀行のオンラインシステム」や「ネット株式取引」など、デジタル化の第1、第2フェーズだけでも利便性、効率は格段に上がりました。現在は、デジタル化の途上であり、いくつかの産業は、第2フェーズまでは進んでいるということです。
では、これから進む第3フェーズでは何がデジタル化するのでしょうか。第3フェーズでは、「ITが業務そのものになる」のです。
その際に大きな役割を果たすのが、AIやIoTであり、このフェーズがさらに進化した場合、現実世界と仮想世界が区別なく存在する社会が実現するとまで考えられています。
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