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混ぜて焼くだけ! 生カップお好み焼き「おはなはん」 ヒットの舞台裏

松本章子(株式会社おはなはん代表)

2018年09月20日 公開 2018年10月17日 更新

ロボットと人の組み合わせのプラン

生カップお好み焼きの生産ライン(株式会社おはなはん)

そこでわが社ではアメーバ経営を取り入れて、自らの創意工夫でどれだけ利益を生み出せるかの挑戦を行っています。まだまだ不十分ですが、利益や資金、生産性に関して社員の意識を変えてもらう流れができつつあります。

おかげさまで今期は、そこそこの利益が出ています。ただ資金はまだまだ不十分です。だから、「利益があっても、お金が残らなあかんねん」と社員の皆にいいます。とにかく、少しでもお金を残すにはどうしたらいいかを、考えつづけているのです。

固定費と変動費ということでいえば、固定費の削減をどうするかですね。わが社では変動費は原材料費などがメインで、お客さんの満足とファンづくりのために、質の高い材料をきちんと使いつづけたいからコストカットはしたくないのです。

さらに固定費のなかでも、人件費や教育費など、社員の生活や能力アップにかかわる費用を削る気はありません。人員削減も意識していません。

そこで浮かび上がってきたのが配送費です。いま商品の配送は自社でも行っています。ここにメスを入れなければならない。配送を外注化してコストを削減し、「おはなはんはメーカーに徹したい」のです。

また万が一、配送中に事故が起きたら、その社会的責任も大きく追わねばならず、実際の損害コストもかかる。ブランドイメージも傷つきます。コスト削減の点も含めると外注化のメリットは大きいでしょう。

――製造の効率化、生産性を上げるための工夫は、どのようなものがありますか?

松本 モノづくりをするなかで、人為的なミスをしたらだめですね。それをどれだけ防ぐかを徹底的に意識し、それがコストカットの数字にあらわれてこそ、「やったこと」になるんですよ。残念なことにまだいまは、馴れ合いでやっているように見えます。

現場では「重点項目シート」を使い、毎月毎月、行動予定を立て、「包装に使うカップのフタのロスは、毎月600を200にする」というようなことを記し、実行していく。

でも、それが十分にはできていない。「こうやから、ああや」というふうにミスについての言い訳をするのです。

とにかくまずは、社員の皆が「重点項目シート」を必ず実行し、達成できるようにしたい。「これだけロスを減らしたから、コストをここまで抑えられた」と喜びを味わってもらい、さらなる改善を進めていく。それしかないと思っています。

私共は、京セラコミュニケーションシステム(以下KCCS)さんのコンサルタントから、部門別採算表と重点項目シートを使ったアメーバ経営の実践について、指導を受ける機会がありました。今では毎月、重点項目シートに月の行動予定を立て、その行動が部門の採算に与える効果まで見積もることができるようになってきました。

さらに、製造現場の変革に関していうと、これからは「ロボットと人をどう組み合わせて活用していくか」という時代になってきます。たとえば最新式のロボットでは、人の力ではなかなか揃えることができなかったカップの上の顔を、きちんと揃えることができるようになった。

その効果は絶大です。ただ、ロボットの導入にはイニシャルコストがかかり、ランニングコストをどう下げるかも考えねばなりません。そうしないとお金が残らない。

一方で、卵をカップに入れるのはロボットではできず、人が介在しなければならない。そのコストをどれぐらい見積もるか。ロボットと人の組み合わせのプランをいまからきちんと作っていかないと、うまくコストコントロールもできなくなってしまうのです。

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人々に役立つ「粉」を世界に!

著者紹介

松本章子(まつもとあきこ)

株式会社おはなはん代表

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