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知られざる医学部受験の真実「何歳でも合格」「0円で通える」「偏差値が低くてもOK」

犬塚壮志(士教育代表取締役)

2018年10月03日 公開 2023年01月30日 更新

 

高額な学費を払わないで済む抜け道とは?

医学部の学費については、どこまで知ってらっしゃるでしょうか?「具体的な金額はわからないけども、とりあえず高い!」といったイメージでとらえている方が多いと思います。

結論として、平均で6年間トータルの学費は国公立大の約350万円、私立大のほうは約3,000万円となります。
国公立大と私立大では、学費が1桁違ってきます。

この事実を知ると途端に
「私立は絶対ムリだ……。かと言って、国公立にいけるほどオレ、頭良くないし……。やっぱり医学部は無理かなぁ……」
「うちの子には申し訳ないけど、国公立大しか受けさせてあげられないなぁ……」
そう思ってしまう受験生や親御さんがいるのも頷けます。

でも、それは早計です。
もし、この学費を0円にできるとしたら、医学部、特に私大医学部をあなたの選択肢に残せないでしょうか?

「学費が0円なんてできっこない!」と思う方がいるのも当然でしょう。でも、実際に私の元教え子で、学費0円で私立大の医学部に通っている人がいました。これは、知る人ぞ知る「ある方法」を使って学費を0円にしていたのです。

実は経済的に苦しい方でも、条件さえしっかりクリアすれば、学費0円で医学部に通うことも可能なのです。ただ、この事実は、生徒本人やその親御さんと話してみると、意外と知られていないのです。

 

「地域枠」で学費を大きく抑える

大学によってはそもそも学費が0円の大学もありますが、一般的な方法としては、学費免除&奨学金の2つを組み合わせることで、たとえ私立大でも極端に費用を抑えることが可能になります。

中でも、主に自治体と大学がタイアップしたような、返還すら免除される「貸与型奨学金」の利用が狙い目です。
それが、「地域枠」というものでの出願になります。
これは、へき地の医師不足解消のために大学が設けている特別枠です。この地域枠について、以下に簡単にまとめておきます。

[目的]医学部特有の制度で、国公立大・私立大に限らず、地域の医師不足を解消するために設けられた制度
[条件]大学卒業後に、指定された地域や科で一定の勤続年数、医療に従事すること
[メリット]学費の一部または全額が貸与され、指定された年数を勤め終えれば、返還の義務がなくなる

この「地域枠」で受験すると、通常の出願よりも受かりやすいとも言われています。ですので、元から「地域医療」に興味がある人には、うってつけの出願方法と言えます。

地域医療振興協会のホームページ「へき地ネット」をご参照いただくと、ほとんどの大学の「地域枠」と奨学金の有無や額を知ることができます。

付け加えますと、出願条件(出身地制限の有無など)や貸与条件は大学によってまちまちであり、年度によって変わることもあります。必ず志望大学のホームページで調べたり、その大学の入試課に問い合わせをしたりし、必ず確認しておいてください。

ちなみにですが、この「地域枠」とは、いわゆる“ひも付き”の制度でもあるため、デメリットになりうることも挙げておきます。

[デメリット]
・勤務先や所属する科に大きな制約がかかる(一定期間)
・約束(指定の条件)を破ると奨学金の返還義務が生じる

医学部に入学してから、先輩や先生からの話、さらには自身の実習経験などを通して、想像もしていなかった医療現場の実態を知ることになると思います。

その上で進路を変更したくなっても、勤務地だけでなく、勤務先の病院や所属する科を、自治体などの他者に決められてしまうのが「地域枠」という制度なのです。

卒業後9年間ほどは身動きが取れなくなってしまうことは大きなデメリットと言えるでしょう。

この「地域枠」の出願条件を守らなかった場合、貸与された奨学金の返還義務が生じます(近年は、一部の大学で緩和しているところもありますが)。

国公立大医学部の学費(350万円ほど)であれば、医者として働きながら十分に返還できる額でしょうが、私立大医学部の場合は額が額なので、いくら医師の給料が高くても返還は大変でしょう。

「地域枠」での受験は確かに受かりやすくはなるのですが、柔軟なキャリアを構築していくという意味においては諸刃の剣であることは理解しておいたほうが良いです。

こういったことを覚悟の上で、「やっぱり医者になりたい!」、そう強く想えるのであれば、ぜひ選択肢として「地域枠」を考えてみてはいかがでしょうか?

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