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通信障害どころではない! クリントン元大統領が告発する"アメリカの脆弱なセキュリティ"

山口晶(早川書房)

2018年12月14日 公開 2023年01月12日 更新

日本にとっても他人事ではない?

『大統領失踪』はアメリカを舞台に書かれているが、上記のシミュレーションは私たち日本人にも無関係ではない。

実際、アメリカや中国など、日本と経済的な結びつきが深い大国の社会システムが崩壊すればその負の影響は必ず我々にも及ぶ。その影響は決して小さくないだろう。日本もアメリカ同様、インターネットにおいても経済面においても「相互接続が極めて進んだ国」なのだ。

また、ソフトバンクの通信障害はただの事故だったかもしれないが、一機器の故障があれだけの被害をもたらすのであれば、悪意を持った組織や個人によるサイバーテロが行われた場合の対策をしっかり講じる必要があるだろう。サイバーセキュリティ大臣がPCを使いこなせるかどうかというよりも重大な問題である。

コンピューターセキュリティの大手マカフィーは、2009年の時点ですでに米国、イスラエル、ロシア、中国、フランスといった主要国は「サイバー冷戦」状態にあるというレポートを発表している。

それから10年近く、大国はインターネットを使った情報収集やサイバー攻撃能力の増強にしのぎを削ってきた。2016年のアメリカ大統領選へのロシアの介入などは、冷戦を超えた直接攻撃と言えるかもしれない。

イギリスのBrexit可否の国民投票へもロシアの介入が取り沙汰されている。中国の電子通信機器大手Huawei製品の政府機関での使用を止めるようアメリカが各国に要求するのも、このサイバー冷戦の一環だ。

物理的な戦争が行われていなくても、大国はすでにサイバースペース上での殴り合いを始めているのだ。その余波が日本に及ばないと言えるだろうか。

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