実は"識字率"が低下している? フェイクニュースを見抜けない日本人
2018年11月27日 公開 2023年02月24日 更新
<<特定の弁護士へ13万件という史上稀に見ぬ大量の懲戒請求が送付され、社会的な問題として報じられた。この件について『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』の著者である一田和樹氏は「ブログにかいてあった内容をそのまま信じて、扇動されていた」と同書で述べている。
世界各国でネットによる世論操作が行われており、いまは戦争兵器としての役割をも担う「フェイクニュース」は、国家が本気でその対策を取る時代になっているにもかかわらず日本では報じられていない、と一田氏は指摘している。
本稿では、「機能的識字率」と「フィルタ」の視点から、日本人がインターネットにより操作されやすくなっている要因と現状を、同書から探る。>>
※本稿は一田和樹著『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)より、一部抜粋・編集したものです
識字率が低ければ、世論操作への耐性も弱化する
フェイクニュースを語る際に見落としがちな社会的問題がある。機能的識字能力の低さだ。文章を読んでも正しく意味を理解できない人々がいる。
日本の識字能力は世界でもトップレベルで100%に近いと信じている人もいるが、実は我が国は識字能力の調査を長い間行っておらず、義務教育修了をもって識字能力ありと判断しているだけだ。
最後に日本で識字率の調査が行われたのは1955年で識字率そのものは高かったが、機能的識字率は低かった。識字率の低さは世論操作への耐性に大きく関わっている。
機能的識字能力の低い人とは、極端な表現をすると「ツイッターはできても文章の意味は理解していない人たち」だ。ツイッター上でふつうに発言し、受け答えもしている。
しかし、そのやりとりをよく見ると相手の言っていることを明らかに理解していないように見えることがある。そんな経験がある人も多いだろう。その齟齬は機能的識字能力が低いことに起因している可能性がある。
筆者自身にも経験がある。オンラインマガジンに寄稿した記事がヤフーニュースに載ったり、はてなブックマークで拡散されて多数のコメントがつくことがある。
しかし、そのほとんどはタイトルしかみていないとしか思えない内容でげんなりする。おそらくそうした人々はタイトルしか読めないか、読まないのだ。