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技術を磨き上げ、社会に貢献し続ける~ 島津製作所

対談:中本晃 × 鈴鹿可奈子

2019年01月10日 公開 2019年01月10日 更新

社会に貢献する姿勢が企業活動の原動力

鈴鹿 では、その社是をどのようなお考えで実践されているかについて、お聞かせいただけますでしょうか。

中本 本当の意味で「科学技術で社会に貢献する」ためには、まず「世界の一級品」をつくらなければなりません。信頼性や性能が不十分な製品では、かえってトラブルを起こす危険性もありますから、そのジャンルにおいて“ナンバーワン”といえる高性能・高機能の製品をつくり出してこそ、世の中に貢献することができるのだと思います。

また、世の中にまだ存在しない“オンリーワン”の製品を開発することも重要です。他社と似たようなものをつくっても価格競争に陥るだけで、十分に社会に貢献することはできないでしょう。

常に研究開発に努力し、ナンバーワン、オンリーワンの製品を世に送り出してこそ、社会を豊かに、人を幸せにしていくことができるのだと思います。

鈴鹿 そのお考えには、当社の八ッ橋づくりも通じているように感じます。私どもは御社のように高度な科学技術を扱っているわけではありませんが、八ッ橋づくりを究めて、食べた方に「美味しい」と言って笑顔になっていただきたい。人を幸せに、社会を豊かにしたいと願っております。

中本 私どもは医用機器の開発で人々の健康に貢献しようとしていますが、人間は笑うことで免疫力が高まりますから、美味しくて笑顔になれるお菓子をつくれば、それは人間の幸福にも健康にも貢献されていることになると思いますよ。

鈴鹿 会長にそうおっしゃっていただくと、とても嬉しく思います。

中本 当社には「科学技術で社会に貢献する」という社是に加えて、「『人と地球の健康』への願いを実現する」という経営理念があります。さらにこれらをベースにして、毎年年初にはその年の「スローガン」を発表し、グループの方針として浸透させるよう努めています。

社員たちもこうした理念をよく理解していて、社内で定期的に行なっている「企業倫理アンケート」の結果を見ても、90パーセント以上が「自分の仕事が社会の役に立っていると思う」「仕事に誇りを持っている」と答えています。これが当社の強みだと思います。

鈴鹿 人と地球の健康のために、社会に貢献されようとするお気持ちが、御社の企業活動の原動力となっているわけですね。社員のみなさんが創業精神を大切にされ、それが企業風土にしっかり根付いているのが、とてもよくわかります。

ところで、御社の社章は薩摩の島津家の家紋と同じですが、何か特別なおつながりなどがあるのでしょうか。

中本 「丸に十の字」の社章ですね。この由来は、実は豊臣政権時代まで遡ります。

武勇と優れた人柄で知られる薩摩の島津義弘公が、ある時、伏見からの帰国途上で、領地があった播州姫路に検分のために立ち寄りました。その際、誠心誠意お世話をしたのが、初代源蔵の先祖にあたる人物でした。義弘公から感謝の印として、島津の苗字と家紋が贈られたそうです。

その後、源蔵の先祖は京都に移り、源蔵が島津の紋を社章に掲げて当社を創業し、現在に至っているわけです。

鈴鹿 御社の社章には、そのような由緒があったのですか。誠意をもって人に貢献する精神が象徴されているように感じます。

※本稿は、マネジメント誌「衆知」2018年9・10月号掲載《京都企業が明かす「うちの経営哲学」ー島津製作所》より、一部を抜粋編集したものです。

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