中田敦彦「30代以下は外に出ていくしかない」
2019年02月05日 公開 2019年02月27日 更新
上を目指すのではなく、自分のいるべき場所を探せ
「僕は"言われていないことをやる社員"を自任していますが、全然評価されていません。『辞めたい』と言っても誰も止めないだろう」
という人もいるかもしれませんね。
この場合、2つの可能性が考えられます。
1つは、自分を過大評価しているケース。身も蓋もないですが、こういう人はけっこう居ます。
ここはひとつ、自分がやってきた「勝手なこと」を振り返ってみて、それがまっとうな目的を持つものであったか、メリットとデメリットをきちんと勘案していたか、改めて振り返る必要があります。
その上で、「私のやってきたことが間違いなく的確な行動であった」と言い切れるなら、2つ目の可能性――その企業の体質が古くなっている、ということが考えられます。
体質の古い企業ほど、アイデア豊富でアクティブな人材を抑えつける傾向が強くなります。上に居る人々が、優秀な人間に居場所を奪われたくないからです。
これは古今東西どこの組織でも起こる、普遍的な現象なのでしょう。
一個の組織が成熟すると権力基盤が強くなり、権力層はその既得権益にしがみつき、やがて新陳代謝が難しくなっていきます。
そして、巨木は中から腐っていつか倒れるように、終わりのときを迎えます。ローマ帝国も江戸幕府もそうして滅びたのでしょう。
近年、日本の大企業が次々に衰退のときを迎えているのも、この現象の表れかもしれません。
さて、私の属する芸人の世界はどうでしょうか。
やはり、若い人が出世しづらい状況にあると思います。ゴールデンタイムの番組MCを務めるのは40代、50代以上のベテラン。20代や30代が仕切る「とんがった」番組が若者の熱狂的な支持を集める、といった80~90年代のような現象は見られません。
この流れの中で、若い才能はどうするか。何もできずにくすぶっているか、もしくは外に出ていく。この2択でしょう。
私は後者の外に出ていく人たちを応援します。
人を笑わせる能力を、テレビではなくYouTubeで発揮している若い人が増えています。中堅どころでも、「ピース」の又吉直樹さんや「キングコング」の西野亮廣さんのように、別分野で大きな功績を上げる方々がいます。
お笑い界もまた、成熟しきった巨木の様相を呈しつつあるのです。
組織も生命と同じように、生まれては滅びていくものです。もし自分の所属している世界が「老いているのかな」と思ったら、そこから出る選択肢を意識すべきでしょう。