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すぐに"他人のせいにする人"が、「PDCAは役に立たない」と決めつける理由

清水久三子(アンド・クリエイト代表)

2019年02月25日 公開 2019年02月25日 更新

責任追及の場になってしまっては、何の意味もない

【チームの場合(1)ほかの人の意見や顔色をうかがってしまう】
複数人でやる場合には、他の人の意見に引っ張られて、同調した意見しか出せなかったり、異論が言いにくくなることはよくあります。

特に仕事を始めて間もない時期では関係性ができていないため、お互いの出方を探りあってしまい、本音で議論しにくいこともあるでしょう。

そうした状況には、いきなり全員で話し合いを始めるのではなく、一旦、手元のポストイットなどに書き出す時間をとったり、振り返りミーティングの前に事前に提出してもらったほうが率直な意見が出やすくなります。

【チームの場合(2)Problemがリスクの洗い出しになってしまう】
Problem(悪かったこと)を出すときに、実際に起きてもいないことをあれこれと上げてどうしようどうしようと不安になるのは振り返りではありません。

リスクを洗い出して、対応策をあらかじめ考えておくリスクマネジメントは、振り返りとは別のタイミングでやるべきことです。振り返りでは、実際に行動の結果として起きたことを状況と行動と結果の3点セットで出すようルールを徹底しましょう。

【チームの場合(3)責任追及の場になってしまう】
Problemを出したときに、「Aさんが連絡するのが遅かったので、納期に間に合わなかった」「指示が変わったから残業が増えてしまった」というふうに誰かの責任を追及するようなものになってしまうこともよくあります。

確かに行動と結果ではありますが、「だから〇〇さんが悪い。次回は気をつけてください」では効果的な振り返りとは言えません。

「要望の変更に対応するには2日必要。逆算して3日前までの連絡がないと間に合わない」「3日前の変更連絡の時点で、AとBとCが決まっていないと着手しても大幅な手戻りが発生する」など具体的な行動レベルで話し合いましょう。

また、リーダーやマネージャーがメンバーと振り返りをやる場合には、説教モードに入ってしまわないよう気をつけましょう。
 

PDCAを回す前にやらないことを決める

そして最後に、PDCAを回す以前にやってしまいがちな失敗である、「今までの仕事の上に、新たなPDCAを乗せてしまう」について指摘しましょう。

今、時間に余裕があったり、暇でしょうがないということは恐らくないはずです。ただでさえ忙しいのに、PDCAで新たなことにチャレンジするのは得策ではないでしょう。

PDCAサイクルを回す前に、まずやることは「劣後順位」を決めることです。「優先順位」ではなく「劣後順位」です。

「やることに優先順位をつければ何とかなるのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、優先順位をつけることが有効なのは、仕事量が手持ちの時間内に収まる場合です。

新しいことをやる場合には、時間が足らなくなるのでやらないことを決める必要があるのです。これによって時間を生み出します。実はこれは難しいことです。

やらないと決めることも自体も難しいですし、それをやらないで居続けることも難しい。ですが、「やめる」「頻度を減らす」「人に任せる」「自動化する」という4つの視点で、やらないこと=劣後順位を決めておきましょう。

最も生産性が上がるのはすっぱりとやめることですが、「やめることができない」と判断したものはその頻度を減らしてみます。

また、自分が本来やらなくていいことや、誰かがまとめて処理したほうが早いものもあるでしょう。さらに、定型業務などで毎回思いのほか時間がかかっているものなどを自動化できないか知恵を絞りましょう。

正しいPDCAを回すことができれば、この変化の時代のスピードにもついていくことができます。PDCAが習慣化され、意識しなくともどんな状況でも反射的にできるという状態になれば、あなたはもう無敵です。

ぜひビジネスにも人生にもPDCAを生かしてください。

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