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京都人が三条通で選ぶ「カツカレー」と「ビフカツ丼」

2019年03月20日 公開

柏井壽(かしわいひさし:作家)

京都の通りを歩いて愉しむ(柏井壽)
(写真はイメージです)

生粋の京都人であり、食通として知られる作家・柏井壽氏。柏井氏の新刊『京都の通りを歩いて愉しむ』より内容を抜粋し、京都を訪れたらぜひ足を運びたいスポットを紹介する。

本記事で取り上げるのは、市内中心地を走る「三条通」。地元人に愛される、知られざる名店から名所から柏井氏が選んだのは…?

※本稿は柏井壽著『京都の通りを歩いて愉しむ 〈通〉が愛する美味・路地・古刹まで』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです
 

辻留でお弁当、篠田屋でカツカレー

三条通には多くの見どころがありますが、まずは鴨川近く、三条京阪からすぐの『辻留』に立ち寄ってみましょう。

こちらは裏千家御用達の茶懐石のお店で、客席を持たない出張料理専門店です。となると旅行者には無縁かと思われますが、懐石料理のエッセンスとも言える、お弁当という手があるのです。

お花見に、紅葉狩りにとお弁当を携たずさえて出向くのは最高の贅沢です。事前に予約さえすれば、ひと折からでも作ってもらえます。取りに行って、店の佇まいを拝見するだけでも、その伝統は充分に伝わってきます。

もう一軒は川端三条を東に歩いてすぐ、左手北側に建つ『篠田屋』という食堂です。

その佇まいから、料理から、値段から、すべてが昭和の香りを色濃く残すお店ですが、一番の名物料理は〈皿盛り〉。言わば和風カツカレーライスといったところです。

カレーうどんのカレー餡を薄味にしたような餡が、なんとも美味しいのです。あっさりとした味わいなので、若い人には物足りないかもしれません。そんなときは〈中華そば〉を追加しましょう。こちらもまた、今どきの濃い味のラーメンと違って、和風仕立てのあっさり味。どちらも安くて美味しいのが嬉しいですね。
 

東海道五十三次の終点・三条大橋

東海道五十三次の終点とも言える三条大橋から歩いてみましょう。
鴨川に架かる橋のなかで、最も風情あるのはこの三条大橋でしょう。何しろ幕末の動乱、池田屋事件の際についたとされる刀疵が擬宝珠に残っているというのですから。

橋の北側と南側の両方にありますが、南側のほうが見やすいかもしれません。西側から数えて2番目の擬宝珠をよく見てみましょう。それらしき痕がお分かりになるかと思います。

刀疵をご覧いただいたら、そのまま南側の歩道を西のたもとまで戻りましょう。〈東海道中膝栗毛〉でおなじみの弥次さん喜多さんのひょうきんな像が並んでいます。

東海道五十三次の最後の宿場がこの三条大橋です。

誰もが一度は読んだことのある旅日記ですが、どんな話だったのか細かくは覚えていないというのが正直なところではないでしょうか。

出版当時は大変な人気を呼び、続編まで出されたと言いますから、今で言うベストセラー本ですね。画家でもあった作者の十返舎一九は現地取材を行なって書いたようですが、残念なことに京都を訪れることはなかったようです。

木屋町三条の北西角には〈佐久間象山 大村益次郎遭難の碑〉が立っています。時代が明治に変わるころは、この近辺では多くの血が流されました。

なかで最もよく知られているのは、ここから少し西に行った辺りで起こった〈池田屋騒動〉でしょう。

今ではおなじ名前の居酒屋になっていますが、かつてはこの場所に〈池田屋〉という旅館があり、討幕派の志士たちが謀議中に新選組に襲われ、双方十名近い死者を出した事件で、これをきっかけとして、倒幕の機運が高まったと言われています。

弥次さん喜多さんのように、のどかな珍道中を繰り広げる時代もあれば、まなじりを決したどうしが互いを傷つけあう時代もありました。

それらを目の当たりにしてきたのが三条大橋であり、三条通なのです。京都の通りには必ず歴史があり、それには正もあれば負もあるということを通りが教えてくれます。

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