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怒りをコントロールするアンガーマネジメントの極意

安藤俊介(日本アンガーマネジメント協会代表理事)

2019年03月27日 公開 2024年12月16日 更新

怒りをコントロールするアンガーマネジメントの極意

情報過多の今般、つねに何かに追われてイライラしてしまう人も少なくないのではないだろうか。そのなかで注目されているのが、怒りをコントロールするアンガーマネジメントだ。日本アンガーマネジメント協会代表理事を務める安藤俊介氏が、自らの感情を整える極意を説く。

※本稿は『Voice』4月号、安藤俊介氏の「「伝染する怒り」への対処法」を一部抜粋、編集したものです。

 

「怒りの感情=ネガティブ」ではない

価値観の多様化、テクノロジーの変化で急速に変わる社会。多くの「ズレ」と直面する現代だからこそ、私はアンガーマネジメントが必要だと考えています。

アンガーマネジメントとは「怒り」をコントロールして、マネジメントするスキルです。「多様な価値観に対する許容度を上げること」と言い換えてもいいかもしれません。

すなわち、自分とは異なる価値観をもっている他者や出来事を前にしても、「そういう人がいてもいいのではないか」「そんな出来事があってもいい」と受け入れられる能力を磨いていく。それこそが、アンガーマネジメントの本質なのです。

そのためには、前提として怒りの感情を学び、理解して、うまく取り扱えるようになる必要があります。そもそも怒りとは誰にでも備わっている感情で、研究の世界では「防衛感情」ともいわれています。

ハーバード大学のウォルター・B・キャノン教授によれば、動物にも怒りの感情があり、彼らは脅威に直面したときに、怒りという感情を使うことで身体を臨戦態勢にして、闘争や逃走をできるようにしたのです。

そう考えると、怒りとはれっきとした「生存に必要な感情」といえます。ことさら「怒りの感情=ネガティブ」と捉える必要はないのです。そう聞いただけで、気が楽になる方も少なくないかもしれません。

アンガーマネジメントの方法論は至ってシンプルです。前提として認識する必要があるのが、この世の中に私たちにコントロールできるものは「衝動」「思考」「行動」の3つしかないということ。

そして、その3つといかに上手に付き合うか、その方法をトレーニングで身に付けていくのです。

実践方法に関しては小著『アンガーマネジメント実践講座』(PHPビジネス新書)をご参照いただきたいのですが、今回、本誌読者にもっとも伝えたいのは、「事実を事実として認識する」ことの大切さです。

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これからの時代に必要不可欠なスキル

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