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戦国武将・真田信之の末裔が幼少期に受けた「真田家の教育」

2019年05月27日 公開

真田幸光(真田信之末裔、愛知淑徳大学教授)

 

「他人がやっているのを見て学びなさい」祖母が伝えたかった自ら学ぶ姿勢

祖母の教育の思い出で特に印象深いのは、小学生の夏休みに河口湖のホテルに缶詰めにされての"合宿"です。

何をするかというと、文字通り祖母といっしょに寝起きをして、生活習慣から勉強まで、さまざまなことを教わるのです。

まず朝は4時半に起きます。体操に続き朝の書道、朝食、その後、午前中いっぱいは夏休みの宿題です。昼食、短い昼寝を挟んで、午後も再び書道。その後、ようやくわずかばかりの自由時間があって、夕食、お風呂と続き、21時には就寝します。

この合宿で、よく覚えているのが、ある日の朝食でのできごとです。
滞在していたホテルでは7時頃に洋食のレストランが開き、朝食をいただいていました。

そこで出てきたのがきれいな器に水が入った「フィンガーボール」。
ところが、まだ小学生だった私には、それが何かわかりません。そこで私がとった行動は……、予想がつくと思いますが、器に入った水を飲むものと思い、口をつけてしまったのです。

「ぴしゃっ!」その瞬間、何も言わず、祖母の手が飛んできました。
私はわけがわからず、びっくりしてしまいました。

「僕、何か悪いことしましたか?」そう尋ねても、祖母は何も言ってくれません。「でも教えてくれないと、わからないよ」思わず独り言のようにつぶやきました。

すると、祖母はひと言、こう言うのです。

「わからないんだったら、他人がやっているのを見て学びなさい」

食事といっても合宿中のそれはテーブルマナーを学ぶ時間で、一切気は抜けませんでした。

大人になって仕事で香港に駐在していた時、まだ返還前だった香港にはイギリス人がたくさんおり、ホームパーティに招かれたり、ミーティングの前にいっしょに食事をすることがたびたびありました。

あるイギリス人(本人は「自分はSirの称号を持っている」と言っていました)といっしょに食事をしたときに「きちんとしたテーブルマナーができているね」と感心されたことがあります。

当時は「何でこんなこと、やらなくてはいけないんだ」と思っていましたが、その時は、祖母の教育に感謝しました。

このように、祖母はしつけ、教育に対して非常に厳しい人でした。
あとになってわかったことですが、祖母のそうした教えには、厳しくしつけることで、私に自分を律することができる人になってほしい、という思いがあったようです。

「長男の長男」として家を守っていく立場にある私に対して――家をきちんと継いでいくということは、生命を守っていくことであり、そうした立場の人が、世の中に貢献していない、人からも尊敬されていない、そんなことでは家は守れない、だから、しっかりした人間になりなさい――そのために、厳しく育てなければという思いを持っていたようでした。

体だけでなく、心の姿勢も正して、きちんと魂を込めて字を書くということを通じて、何事も心を込めて行動していくことの大切さを。

絵や器を見て感想を言葉にすることを通じて、言葉一つとっても、自分の頭で深く考えて口にすることの大切さを。

そして、テーブルマナーを通して、教えてもらうのではなく、自分からどうしたらいいか学んでいく姿勢の大切さを。

そういったことを伝えていこうとしていたのではないかと思います。

こうした祖母の教えが、子どもの頃に聞いた真田家の家訓とともに、人生の指針として私の心の中に生きています。



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