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“無差別殺人犯”と“匿名ネットユーザー”に共通する「他人への攻撃欲」

2019年05月29日 公開

片田珠美(精神科医)

片田珠美(精神科医)

<<川崎市・登戸で起こった無差別殺傷事件が社会に衝撃と不安を与えている。なぜ面識もない無関係な人を攻撃してしまう事件が起きるのか?

精神科医の片田珠美氏は自著『他人を攻撃せずにはいられない人』では、”攻撃性の強い人”を分析しつつ、どう向き合うべきかを説いている。同書にて「無差別殺人」について言及した一節をここで紹介する。>>

※本稿は片田珠美著『他人を攻撃せずにはいられない人』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです

 

スッとするために正義を振りかざす

インターネットは、誰かの誹謗中傷にあふれた世界である。ほんの小さな悪事でも、まるで鬼の首でも取ったかのように大きく騒ぎ立てる。

自分の意見と違う人がいると、徹底的に論破してその人の人間性まで否定しようとする。相手が成功している有名人ともなれば、攻撃はますます激しくなる。ネットから始まった騒動が大きくなり、マスコミに取り上げられることも珍しくない。

最近特に増えているのは、「正義」を振りかざして相手を追及するやり方だ。たとえば、芸能人の家族が生活保護を受給しているということを知るやいなや、「けしからん。この税金泥棒!」といった具合に相手を攻撃する。ここまでならまだ序の口だ。

徹底的に糾弾するにはそれだけでは足りないと、その芸能人の出演番組のスポンサーに「降板させろ」という抗議を申し入れたり、芸能人の過去の発言を掘り起こして発言の矛盾を指摘したりと、相当な労力をかけてまでその人を攻撃しようとする。

たしかに、生活保護は必要な人に正しく支給されなければならない。そして不正受給が後を絶たないという問題に一石を投じたという点では意味のあることだった。

しかし、この騒動が起こるまで、その問題と向き合っていた人がどれだけいただろうか。また、騒動後も継続してこの問題と向き合っている人はどれだけいるだろうか。

当時攻撃していた人たちの目的は、社会問題の根本的解決にあったのではなく、自分の攻撃欲を満たすことにあったのではないかと思われる。

実際、この騒動が収まると、次は芸能人の不倫騒動、人気アイドルの男性との交際騒動と、攻撃ターゲットは目まぐるしく変わっていった。全ての騒動に参加している人がどれだけいたかは知らないが、他人の悪を叩いた人は総じて次のような快感を得たのではないだろうか。

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