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医師が本音で話す「がんが再発してしまう理由」

2019年06月07日 公開

中山祐次郎(外科医)

医師の中山裕次郎

<<自分の家族が、自分の大切な人が「がん」と診断されたらあなたはどうしますか。

巷には数多くの健康本が出版されています。その中には、「がんにならない方法」が書かれたものもありますが、身近な方ががんになったときの対処法について書かれた本は稀かもしれません。

今や2人に1人ががんになる時代。著書『がん外科医の本音』では、著者であり、現役のがん外科医である中山祐次郎氏が、がんが再発してしまう理由を語っている。>>

※本稿は中山祐次郎著『がん外科医の本音』(SB新書)より一部抜粋・編集したものです。

 

がんはなぜ「再発」するのか?

ここでは「がんはなぜ再発するのか」について考えましょう。この疑問は「がんは切れば治るのか」という疑問に密接に関連しています。

がんの再発とは、簡単に言えば「見かけ上、がんが体から無くなったが、再び出てきてしまった状態」を言います。

ここで「見かけ上」と断ったのは、前項の手術の話にも関係してきます。なぜなら治療をした結果、ある患者さんの体の中からがんが完全になくなったかどうかを判定すること自体が不可能に近いからです。どういうことでしょうか。

私たちがん治療の専門医は、CTやMRI、PET検査などいろいろな検査で体内のがんの状況を把握します。治療の前、そして治療中、さらには治療後数ヶ月と実にさまざまなタイミングで何度も検査を行い、がんがどこにあるかを確定させるのです。

しかし、ここで出てくるのが、検査の限界という問題です。検査結果では「がんは無し」と判定されても、細胞レベルで見ると体内に残っている可能性があるのです。

CT検査では、放射線を使って体の中をかなり詳細に見ることができますが、それでも放射線被曝との兼ね合いで通常5ミリメートルおきの断片的な画像しか撮りません。

ですから、この一枚と次の一枚の間に、たまたま2ミリメートルの大きさのがんがあったら、発見できないのです。2ミリメートルのがんはまだ大きいものですが、その何百分の一の大きさであるがん細胞が数十個こぼれ落ちていたとしたら、これはどんな検査でも発見できません。

こういった検査の限界があるため、厳密な意味で「患者さんの体から、がんは完全にいなくなった」と言い切ることには無理があるのです。

がんはがん細胞がいくつかあるだけで無限に増殖していきます。

ですから、「再発した」という言葉の意味は、「患者さんの体からがんは完全にいなくなったが、再び出てきてしまった」ではなく、「患者さんの体からがんは完全にいなくなったように検査上見えたが、実は細胞レベルでは残っており、それが再び増殖してしまった」のほうが正確です。

ですから「がんはなぜ再発するのか」という問いには、「そもそもがんは完全に退治できておらず、わずかに残っていたがん細胞が再び増えて検査でも見つかるようになっただけである」と答えられます。

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