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「若く見えるね」もセクハラに? 危険な上司の“アンコンシャス・バイアス”

守屋智敬

2019年06月26日 公開 2022年12月21日 更新

 

あなたの中にもあるアンコンシャス・バイアス

実は、アンコンシャス・バイアスは誰の心の中にも潜んでいます。次の項目をチェックしてみてください。

□ ついつい、「これまでのやり方」や「前例」に固執してしまう
□ 何をするにしても、相手との「上下関係」を意識してしまう
□ 評価が怖くて、役員や上司には、率直に意見を言えないことがある
□ 「きっと自分の意見は受け入れてもらえない」と思い、遠慮してしまうことがある
□ 上司には、とりあえず「できます!」と言ってしまう
□ 世代や出身地などで、相手を見てしまうことがある
□ 他部署の仕事のやり方は、おかしいと感じる(=自分たちは正しい)
□ 「中途入社の人は、なんでこうも考え方が違うんだろう?」とイライラしてしまう
□ 「ここまではわかっているはずだ」と思いながらプロジェクトを進めてしまう
□ 事務的な仕事は、つい女性に依頼してしまっている

<リーダーの場合>
□ 振り返ってみると、長期・大型案件は男性ばかりをアサインしていた
□ 女性との仕事は何かにつけてセクハラと言われそうで、面倒だと思うことがある
□ 女性は「すぐ泣く」「よく泣く」と思ってしまい、いろいろな面で注意しづらい
□ 小さな子どもがいる女性社員には、出張を伴う案件はアサインしづらい
□ 育休取得や時短勤務を選択する男性社員は、昇格欲が低いと思ってしまう
□ プライベートを優先する社員は、昇格に興味がないと思ってしまう

いかがでしょうか? 
これらはほんの一例ですが、「アンコンシャス・バイアス」に影響を受けた言動です。

アンコンシャス・バイアスがあることは自然の摂理なので、それ自体はそれほど問題ではありません。問題は、それに気づこうとしないこと。自分は、無意識の思い込みを持っている――このことを常に意識して、自分の言動に敏感になることが大切です。

 

「若く見えますね」は褒め言葉?

たとえば、あなたが誰かに「真面目な人ですね」と言ったとき、相手はどんな気持ちになると思いますか?

「うれしいに違いない」と思うのであれば要注意。それはあなたの思い込みかもしれません。

もちろん、うれしく感じる人もいるでしょうが、「つまんない人だと言われているようでショック」という人もいます。「時と場合によります」と回答する人もいれば、「仕事を一緒にしているメンバーに言われるとうれしい気もするけれど、友達には絶対に言われたくないセリフ」という人もいます。

また、「実際の年齢よりも若く見えますね!」と言われてどう感じますか? この言葉も、人によって、立場によって、国によっても印象が大きく異なります。

「若く見てもらえたとは、なんてうれしいことだ!」と思う人もいますが、「若く見られたなんて、ショック」「若く見えただなんて、失礼だ!」という人もいます。

「若く思われることは、とても素晴らしいことである」という価値観をもっている人は、素直に喜ぶでしょう。一方で、「年齢を重ねることは素晴らしいこと。年下に見られることは、嘆かわしいことだ」という価値観をもっている人は、不快に感じるでしょう。

容姿を褒めたつもりでも相手が不快に感じたら、それはセクハラになる可能性も。ハラスメントにもアンコンシャス・バイアスが関わっている場合が多いのです。

意識しなければならないのは、相手が必ずしも自分と同じ価値観や、同じものの見方をしているとは限らないということです。

言葉そのものに、良い・悪いがあるわけではありません。この言葉を受け取った人の「過去の経験」や「価値観」などから、同じ言葉でも、印象が大きく違ってきます。

相手に対して、良かれと思って伝えた言葉が、どう受け止められるのかは、相手次第。「自分はいい意味で言ったのに、不快に感じるなんて失礼だ」というのは、価値観の押し付けです。

すべては、「相手がどう感じたか?」という「相手の心のあと味(快・不快)」が大切で、この心のあと味は、人によって、その時々によって異なります。

だからこそ、リーダーはとくに、メンバーの「不快」に目を向けなければいけません。

人は不快の感情に包まれていると、なかなか前向きになれず、行動が抑制されてしまい、やがてはさまざまな職場の問題へとつながっていきます。

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非言語メッセージから相手の感情を汲み取る

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