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パワハラ? 指導? 体育会出身の若者を潰したクラッシャー上司の実例

2018年11月21日 公開

松崎一葉(筑波大学医学医療系 産業精神医学・宇宙医学グループ教授)

パワハラと指導、その差を分けるものとはなにか?

<<パワハラと熱心な指導と境目とは何か? 物理的な危害を加えるようなことがあれば、それは明確にパワハラだと指摘しやすい。しかしながら、言葉を通した指導の内容の場合、明確な基準を設けるのは難しい。その差を分けるものとは何なのか。その差のひとつに部下への"共感"の有無が挙げられるのではないだろうか。

部下を潰す「クラッシャー上司」の問題を指摘する松崎一葉教授は、著書『クラッシャー上司』で「共感」に欠け一人の若手社員を潰した上司の一例を紹介している。>>

※本稿は松崎一葉著『クラッシャー上司 平気で部下を追い詰める人たち』(PHP新書)より、一部抜粋・編集したものです。

 

耳から離れなくなった、大手企業常務の"戦慄の言葉"

昨今、人事部を中心に、「クラッシャー上司」という言葉が使われるようになってきている。

命名者は、元・東京慈恵会医科大学精神科教授の牛島定信先生と、牛島先生のもとで学んでいた私なのだが、当初、私たちはそうした存在のことを「潰し屋」と呼んでいた。

大手広告代理店の常務が口にした「五人潰して役員になったんだよ」というフレーズが耳から離れず、私は「潰し屋問題」について研究するようになった。

研究を進めれば進めるほど、この問題は広く一般に知られたほうがいいという思いが強まり、私は「潰し屋」をより目に留まりやすい「クラッシャー」という名称に置き換えた。

一挙に広がる流行語とはならなかったが、徐々に「うちにもいる」「自分の上司がまさにそうだ」「いま社内問題になっている」などの声を耳にするようになった。

私が精神科産業医として契約している会社からも、特定の「クラッシャー上司」の相談を持ちかけられることが増えたし、ビジネスパーソン相手の講演でこの問題を取り上げると、聴衆が非常に真剣に話を聞いてくれる。それだけ多くの職場で問題になっているのである。

では、「クラッシャー上司」とは、どんな人間のことを指すのか。いくつかの角度から説明可能だが、ごくわかりやすい定義としては、次の一文で言い表すことができる。

<<部下を精神的に潰しながら、どんどん出世していく人>>

「クラッシャー上司」は、基本的に能力があって、仕事ができる。しかし、部下をときには奴隷のように扱い、失敗するとネチネチ責め続け、結果的に潰していく。

部下は心を病んで脱落していくが、「クラッシャー上司」自身の業績は社内でもトップクラスであることがほとんどだ。だから、会社が問題性に気づいてもその者を処分することができない。次々と部下を潰しながら、どんどん出世してしまう。

その一例を挙げてみよう。

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実例 48歳の課長と入社3年目の若者 >



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