医者が「じっくりと診てくれる」時間帯はいつなのか?
2019年08月23日 公開 2024年12月16日 更新
医者こそ、超ブラック産業だと言われることがある。一般職員の過労死予備軍(平均労働時間300日以上・週75時間以上)は1.2%だが、勤務医はその10倍以上の14・5%にのぼるといわれている。
「3分診療」ともよく言われるように、医者が1人の患者と接してくれるのは3分程度と非常に短くなりがち。でも3分じゃあ、自分の状態を伝えるのも、医者から注意したいことや治療法も十分に聞く時間がとれない…。
確かに医者が忙しいのはわかるけど、少しでも余裕のある時間を狙って医者に診てもらいたい。
そこで本稿では、医者や病院の裏事情を明かした書籍『知ってはいけない 医者の正体』の著者にして、現役医師の平松類氏が、医者の時間割を特別に公開します。医者がいつ忙しくて、いつなら余裕があるのかがわかるので、なるべくじっくりと診療を受けたい人には参考になるはずです。
※本稿は平松類著『知ってはいけない 医者の正体』(SB新書)より一部抜粋・編集したものです。
拘束時間が長く、忙しい大学病院の医者
医者が何時に仕事をしていて、何時に帰っているのでしょうか? それを知ることで、なぜこんなに待たされるのかや、何時ぐらいが医者が話をゆっくりしてくれるのかがわかります。
そこでまずは、3つの医者の日常をご紹介します。大学病院、一般病院、クリニックのそれぞれで、一例ずつ挙げました。
大学病院にいる医者の特徴は、雑務が多く、拘束時間が長いこと。
朝は6~7時ぐらいに病院に到着し、入院中の患者さんの診察をします。研修医はその前に、採血などの検査もやらされます。なぜならば、8時から患者さんの朝食が始まってしまうからです。食事が始まると、診察ができなくなります。
患者さんと同じタイミングで、医者も朝食をとります。ただ、食べながらカルテの整理や指示出しもします。指示出しとは、患者さんがその日に受ける検査などを決めたり、必要な薬を出したりする作業です。
8時半からは偉い先生(教授や准教授)が出勤して、診察をしたり指示を出したりすることがあります。偉い先生の診察に付き添って、治療方針が最終的に決まります。
9時からは外来です。とはいっても、この間に指示を細かく出さないと看護師さんは動いてくれません。ですから、指示を出している間に9時を過ぎます。「9時から外来」となっていても、時間通りになかなか始まらないのは、これが関係しています。
いよいよ外来が始まると、既にカルテが山積みです。診察の介助についてくれる人も少ないため、自分で患者さんを呼ぶこともあります。診察はたいていスムーズに進まないのでどんどん押していき、12時になっても予約が10時台の患者さんを診ていることも日常茶飯事。
14~15時ぐらいになると少し落ち着いてきて、昼食をとったりします。このぐらいの時間は、医者の診察待ちの患者さんは0なのに、検査を待つ患者さんがたくさんいるという状態になることもよくあります。
しかも、11時受付と聞いているのに、14時になってもまだ検査を待っているという患者さんがいることも。この時間帯に医者は昼食をとることが多いのですが、すると「待たせているのに、医者は昼ごはんに行っている」と思われてしまうのはよくあることです。
昼食後、検査を終えた患者さんが増えてきます。午後の診察時間が終わる寸前に来る患者さんがいると、「重い病気でなければいいな」と、どの医者も考えます。診察で時間がかかってしまうからです。
外来が何とか終わるのが、早ければ18時くらい。18時に終わったとしても、緊急や臨時の手術が待っていることが普通。手術は平均すれば20~21時頃には終わるのですが、手術が多い日は24時近くになります。
その後1時間程度は、詰まれた書類を処理して夜食をとって家に帰ります。内科系であっても病棟の患者さんの診察や投薬指示など時間がたっぷりかかります。