電話をかけてくる人は、仕事がデキない!…成毛眞氏が断言する「納得の根拠」
2019年08月27日 公開 2024年12月16日 更新
(写真撮影:永井浩)
「毎日のように会議が続く」「社内のやりとりは、すべてメールに残せ」……。こうした旧態依然とした会社の体質があり、非効率すぎて頭を抱えているという会社も多いだろう。会社の体質や仕組みを一個人が変えることは難しいから、我慢している人もいるに違いない。
しかし、あきらめたら、そこで終わり。たとえ効果は小さくても、自分一人で、また職場の数人が協力すれば、仕事のムダは必ず省ける。それをするかしないかで、会社の未来が大きく変わるだろう。
そこで本稿では、成毛眞氏の新著『一秒で捨てろ!』 (PHPビジネス新書)より、ビジネスパーソンが直面する仕事のムダの数々と、その対処法を取り上げていく
「誤った常識」を取り外せば、要らない仕事が見つかる
仕事のムダをなくし、生産性を高める最良の方法は何か。
それは、「仕事を捨てること」。作業効率を改善するのではなく、作業全体を止めてしまうことだ。
どういうことか。
自分の職場の仕事にどっぷりつかっていると、どんな仕事も欠くことができないと考えがちだ。しかし、誤った固定観念や常識を取り外して見てみると、やらなくてもまったく困らない仕事が多く見つかる。
たとえば、書評サイト「HONZ」では、さまざまな書評を掲載している。こうした書評を掲載する場合、出版・メディアの世界では、まず書評の内容を編集部内の編集長やデスクがチェック。その後、版元に確認したり、校正者が校正するのが普通だ。
しかし、HONZでは、そうした一連のチェック作業をすべて省いている。
HONZのレビュアーにはサーバーのパスワードを渡しているので、原稿はサイトに自らアップする。文章校正は、手が空いたスタッフが適宜行なう。これで十分だ。
チェックや仕事のフローを細かくつくるほど、やることが増え時間がなくなる。一日誰かがサボれば、その分進行は遅れる。だったら、作業工程は少ないほどいい。
実際、HONZでは、編集長や編集部の仕事は劇的に少なくなった。問題が起きたことも一度もない。出版社はじつにムダな作業を行なっていたというわけだ。このように、捨てても問題ないという仕事は、どこの業界でもたくさんあるものだ。
まずは、身の回りのすべての仕事をなくしたらどうなるか、一つひとつ検証することから始めよう。
エライ人が出席しなければ、会議はなくなる
どんな業種の仕事にもあるけれども、捨てても困らない仕事の筆頭と言えば、「会議」だろう。
頭数だけは揃っているけれども、何も決まらず時間だけが過ぎていく。やっと決まったと思ったら、蒸し返す意見が出てきて、また検討し直し。最終的には、話し合う必要がほとんどなかったような結論になる……。
「この3時間の会議は一体何だったのか?」。そんな思いをしょっちゅうしているという人は、たくさんいると思う。
不思議なもので会社の業績が下がるほど、会議の数は増えていく。最近は残業規制が厳しく、会議の時間も少しは減っているかもしれないが、それでもまだまだ会議自体はあるだろう。それなら、中途半端にやらないで、思い切ってなくしてみてはどうか、というのが私からの提案だ。
ほとんどの場合、「やらなくてもけっこう回るな」「むしろ、業績が上がった!」と気づくことだろう。そのことは、私自身が実感している。
日本マイクロソフトの社長に就任してから、私は、会議をなくすことにした。部下たちに「君たちで勝手に会議するのは、構わない。だが、絶対に俺を呼ぶな」と伝えたのである。
理由は、出るのが面倒くさいから。それに、会議なんてしなくても、会社は回ると考えていたからだ。するとどうなったか。
各部門の生産数量調整など、どうしても出なければいけない会議はあったので、完全にゼロとまではいかなかったが、ほぼすべての会議がなくなったのである。会社は回っていたかというと、極めてスムーズに回っていた。優秀な社員たちが、
自ら考えて仕事をしていたので、会議をしなくてすんだのだ。