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ノーベル賞経済学者が直言「高収入の人が税金を払えば解決」

2019年09月26日 公開

ポール・クルーグマン(聞き手:大野和基)

ポール・クルーグマン
(撮影:常盤武彦)

2008年にノーベル経済学賞を受賞した経済学者・ポールクルーグマン氏。世界最高の知性は「テクノロジーと経済の未来」をどう見通すのか――ニューヨークの彼のオフィスで聞いた。

※本記事は大野和基インタビュー・編『未完の資本主義 テクノロジーが変える経済の形と未来』(PHP新書)から抜粋して編集したものです

 

AIによる大量失業は当分訪れない

――テクノロジーがさらに進化すれば、いずれ機械が人間の労働を奪ってしまうかもしれない……このような脅威論をどう捉えますか。

【クルーグマン】AIについては誇張されている面が多いと思います。テクノロジーの変化によって排除される人はつねにいますが、AIによる大量失業の時代が来るのはまだ先のことでしょう。

一度機械に人間の仕事を奪われたら、やがてすべての仕事が奪われるんじゃないか、という恐怖心はいつの時代もあります。しかし歴史的にみれば、仕事の代謝はいつの時代にも起こっています。アメリカではかつて国民の多くは農業従事者でしたが、いまは効率化が進み農業従事者は数百万規模にまで減っています。代わりに別の仕事が生まれました。

テクノロジーが資本主義を脅かすという強い偏見があり、労働力の使用に反しているとしたところで、では賃金の低い仕事しか得られないほうがいいんですか、ということです。そうではないでしょう。

AIがすべての仕事を奪うという話は、現実の出来事からはまったく乖離しています。ロボットの生産性はいまだ低いままです。仮に人間のように考えることができるAIや機械が現れたとしても、それでどうなるというのでしょう。

AIたちが我々全員を殺すというのでしょうか。AIについて現時点で話されているようなことは、下手なSF映画のたぐいです。現在のところ、まったくそういう兆候は見られません。

どの分野で仕事が求められているかというと、その多くはヘルスケアです。1対1で面と向かって行なうパーソナル・サービスです。AIがこの仕事に取って代わるようなビジョンはいまのところありません。

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