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くらし

わずか5分の「筋肉体操」が、効果十分な”科学的根拠”

谷本道哉(近畿大学生物理工学部准教授)

2019年10月12日 公開 2019年10月13日 更新

 

深くおろしきる「フルレンジ」。「腕立て伏せかけ」「浅はかなスクワット」はNG

自重トレでは、回数をこなすことを目指してしまうと、いろいろなごまかしが入ります。その典型が「深く下ろさない」ことです。いわゆる「腕立て伏せかけ」「浅はかなスクワット」ですね。

深く下ろしきるフルレンジには2つの意義があります。フルレンジとは、動作範囲を存分に使った動きのことです。

1つ目は、腕立て伏せにしてもスクワットにしても、深く下すと筋肉はより伸ばされますが、筋肉は伸ばされた状態で動かすほど微細損傷が強く起きます。つまり、筋肉痛が強く起こるわけですが、馴れてくればその程度は和らぎますので安心してください。

2つ目は、多くの種目において、深く下していくほど筋肉にかかる力が強くなることです。スクワットで少しだけしゃがんだ状態はラクですが、深くしゃがむとしんどいですよね?

負荷と関節のテコの長さの関係で、深くしゃがんでいるときの方が強い力が筋肉にかかるのです。浅いスクワットはラクなところばかりで動作をしているわけです。腕立て伏せかけも同じです。

「浅いごまかした30回よりも、深いフルレンジの10回」
質の高い方法で効率よく鍛えましょう。

 

時間を区切って存分に追い込む。「あと5秒しかできません」で出し切る

最も標準的な筋トレのセオリーは「10回程度でオールアウト」です。筋肥大を誘発する力学的刺激と化学的刺激の両方を万遍なく与えられる方法ともいえます。

ただし、筋トレの有効な方法はこれに限りません。30-40回程度の高回数でも、きちんとオールアウトさせれば同程度の筋肥大が起こることが研究によってわかっています。

ところが、高回数はゴールが遠くて終わりが見えにくいのが難点。限界まで追い込み切るのが大変です。

そこで、筋肉体操では時間を区切り、時間内にリズミカルに目いっぱい行うという方法で解決を図っています。

時間を区切ればゴールがはっきり見えるので、限界まで力をだしきりやすくなります。この方法によって、筋肉が強くパンプアップすることが示されています。

また、ハイスピードは切り返しで強い力がかかります。腕立て伏せで実測すると、通常の方法の2倍ほどにもなっています。力学的刺激も強くなるのです。

「あと5秒しかできません」の気持ちで出し切って、化学的刺激、力学的刺激を存分に筋肉にかけてください。

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