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「いい会社」という言葉から見える病理

2019年11月29日 公開

青野慶久(サイボウズ代表取締役)

 

売り上げが大きい会社はいい会社ではない?

青野慶久
サイボウズのイベント「Cybozu Days」は東京、名古屋、大阪にて開催される。(東京、名古屋は終了、大阪は12/5~6開催)

【大岩】この本ですごく面白いと思ったのは「売り上げが大きい会社がいい会社ではない」とか「利益を上げているのかえらい会社なのか」とか、いわゆる「いい会社」と言われている定義を1つ1つ突き崩していっているところです。しかもそれを上場企業の社長の方が指摘するというのが、すごく面白い。

【青野】売り上げが大きい会社というのは、実はお客さんからいっぱいお金を巻き上げている会社とも言えるわけですね。そう見ると「売り上げが大きい会社ってやばいよね、お金を巻き上げまくっているじゃないか」「ジャイアンのようなものだ」と。それで会社の見方がちょっと変わるといいかなと思って書きました。周囲の反応はいかがでしたか?

【大岩】基本的に絶賛の声が多くて、「よくぞ言ってくれました」という声をたくさんいただきました。

もう1つ、本書で大きな学びがあったのは、「会社さんって実はいないんだよ」というところです。例えば、何か希望を言ったり提案したりしても、「会社の方針だからこれはできない」と言われることは皆さんもよくあると思います。会社の方針だからと言われると、モヤモヤしながらも何となく納得してしまうことは多いのではないでしょうか。

ただ、そこで「具体的には誰の方針なのか」というところをクリアにすると、その人の顔が思い浮かびますよね。例えば何々部長とか。そうしたら、その人に届くような言葉で自分の意見を言えるようになる。顔が見えるので戦いやすくなるのではないかと思います。

【青野】「会社の方針」と言われると誰と戦えばいいのかわかりませんが、「あの部長の方針だ」と言われたら、その部長を口説きに行けばいいわけですね。非常に戦い方が明確になると。面白いですね。

サイボウズ副社長の山田理がよく言うんですが、「会社を動かす」というとすごく大きな話に聞こえるけれども、実は意思決定をしているのはその組織がいくら大きくても1人か2人位だと。その人が誰か分かれば、そこを口説きに行けばいい。

だから会社を動かすというのは大きく考える必要はなくて、数人を相手にしているんだ、という。こういう視点があると、組織の見え方が変わってくるんじゃないかなと思います。

【大岩】「会社を動かそう」というとどうしても身構えてしまいますし、無理だと感じてしまうかもしれませんが、顔が見えるとやる気が湧いてきますよね。

 

社員が「いい会社」と言うことに危機感がある

サイボウズ

【大岩】ちなみに、この本に対するサイボウズの社内での反応はいかがですか?

【青野】実はこの本を書こうと思ったきっかけの1つとして、サイボウズ社内への危機感がありました。この何年か、サイボウズは離職率が下がって業績も良さそうで、いい会社だよね、と言われることが増えてきたんです。

社員の口からも「サイボウズはほんとにいい会社です」といった言葉が聞こえてくる。「会社さん」は本当はいないのに「いい会社だ」と言っている。その言葉がちょっとおかしいわけですよね。

いい会社、ではなく、本当はいい同僚、いいお客さん、いい商品。いいのは会社じゃないよと、それを伝えたかったんです。

この本を書いてからはだいぶ減りましたね。「サイボウズはいい会社じゃない」と言い始めてます(笑)。実際にはまだまだ製品もサービスも改善すべき点がたくさんありますから。だから、いい会社、というなんとなくもやっとした言葉を使わないということが大事かなと思いますね。

実は、この本を執筆した後に『ティール組織』(英治出版)という本を読んだんですが、この本がすごく衝撃的で。『会社というモンスター~』の本の中では、新しい組織の形についても書きました。つまり今までの売り上げや利益重視ではない、社員一人ひとりが自立して融合していく、そういう会社や社会が将来出てくるということを書きました。

この『ティール組織』という本の中では、そうしたことを歴史を追って解説しているので、もしよろしければ手に取っていただきたいなと思います。

今の組織がいまいちなら、「未来の組織ってどうなるんだろう」と。『ティール組織』を読むと、『会社というモンスター~』もさらに深みを持って読んでいただけるかなと思ったりします。



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