「無添加」「医薬部外品」のちょっと怖い本当の意味
2020年01月14日 公開 2021年08月20日 更新
意味を持たなくなってしまった「無添加」の表示
そうはいっても、防腐剤などは「無添加」のほうが肌にはよいのではと考える方もいらっしゃるかもしれません。でも、考え方はシンプルです。
たとえば、スキンケア製品のほとんどは、水と油を乳化させてつくられています。油は酸化しますし、当然においもあります。腐らせずにある一定期間安定させるためには、防腐剤が必要です。
逆に、防腐剤なしでも保存できるということは、何かしら別の不自然なものが使われていると考えられます。
とくに、1980年代に表示成分だったパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベンなどは、いまだに避けるべきものと思い込まれていますが、現在では微生物の増殖を防ぐ安全性の非常に高い防腐剤であることが認められていて、世界中の化粧品に使用されています。
つまり、低刺激で、すぐれた防腐効果を持っている安全性の高い成分なのです。
もちろん、アレルギーなどを起こす可能性がゼロであるとはいえませんが、それはどの成分についても同じこと。防腐剤だけを悪者あつかいする根拠は何もないのです(パラベンについては後述でもくわしくお話しします)。
というわけで、「無添加」という表現自体には、ほとんど意味がありません。「○○という成分が配合されていない」という意味でしかないからです。
いったい何が無添加なのかを、しっかり確認する必要があるでしょう。
「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」の違いとは?
化粧品のなかでも「医薬部外品」という表記があると、普通のものよりも効きき目が高く、より安全を保証されていると感じる方も多いかもしれません。
結論からいうと、じつはそうとも限りません。
一般的なスキンケア用品は、薬事法によって「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」のどれかに、かならず分類されます。
まず「医薬品」は、病気の診断や治療、予防を目的としたもので、配合されている有効成分の効果を厚生労働省によって認められた「薬」です。
医師が処方するワセリンや保湿外用剤など、大衆薬(=OTC)としてドラックストアで購入できるものもあります。
つぎに「医薬部外品(薬用化粧品)」は、厚生労働省が認可した「有効成分」が一定の濃度で配合されている製品のこと。これは日本独自のカテゴリです。
治療用に使われる医薬品より効果が穏やかで、「防止・衛生」を目的につくられたものといえます。
この医薬部外品のいちばん大きな特徴は、「有効成分」を規定量配合していることを証明するデータを厚生労働省に提出して許可を得ているため、医薬品の場合と違う表現になりますが、効果・効能を明記できるという点。
「肌荒れを防ぐ」「ニキビを防ぐ」「日焼けによるシミ・ソバカスを防ぐ」「皮膚の殺菌作用」などの効き目を、パッケージに記載できるということです。
それに対して「化粧品」は、医薬部外品よりもさらに効き目が穏やかで、「肌を健すこやかに保つ」という目的でつくられた製品のこと。そのため効き目をパッケージに表記することはできません。