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再生医療のプロが警告「肌荒れ・乾燥肌」を引き起こす“予想外の真犯人”

落合博子(国立病院機構東京医療センター形成外科医長)

2019年12月28日 公開 2019年12月28日 更新

再生医療のプロが警告「肌荒れ・乾燥肌」を引き起こす“予想外の真犯人”

2003年より国立病院機構東京医療センターで形成外科医長を務める落合博子氏は、約30年にわたって、多くの患者の肌の悩みを解決してきた再生医療のプロフェッショナルとして知られている。

そんな落合氏が、自著『美容常識の9割はウソ』にて、これまで語られてきた美容常識のウソを暴き、科学的エビデンスのある「究極×最強のスキンケア法」を示している。

ここでは、同書より「肌荒れ、乾燥肌の実際」について語った一節を紹介する。

※本稿は落合博子著『美容常識の9割はウソ』(PHP研究所刊)より一部抜粋・編集したものです

 

乾燥肌や肌荒れの原因は「洗いすぎ」

日常的に乾燥肌や肌荒れに悩む方がいまとても増えていますが、その大きな原因のひとつが、じつは「洗いすぎ」です。

毎朝晩、顔もからだも頭も洗っているという方もいらっしゃるかもしれません。一度はじめてしまうと、洗わないとスッキリしないのでやめられなくなります。

でも本来、人の肌は、そんなに頻繁に洗う必要がありません。

わたしたちの皮膚は通常、皮膚常じよう在ざい菌きんによって弱酸性に保たれ、有害な菌が増殖しにくい環境を維持しています。そして皮膚の常在菌である表ひよう皮ひブドウ球菌が、皮脂をエサとしてグリセリンや脂肪酸をつくり出し、皮膚のバリア機能を保っています。

さらに、皮膚ではつねに新陳代謝がおこなわれていますから、汚れがついても角質の剥はく離り成分(=垢あか)とともに剥はがれ落ち、自然と毎日キレイになる仕組みが備わっています。

ですから肌を洗う際に大切なのは、できるだけこうした本来の生理機能を妨げずに正常に保つこと。つまり〝洗いすぎない〟ということなのです。
過剰に洗うと肌荒れリスクが高まる

肌をごしごし洗いすぎてしまうと、皮脂や皮膚常在菌が減り、皮膚構造が傷ついてしまいます。

過剰な洗浄によって、肌の乾燥や湿疹、細菌感染、アレルギーのリスクが高まることも、臨床研究で確認されています。

ただし、健康な肌であれば、いったん表面の皮脂がとりのぞかれたとしても、新しい皮脂が2〜3時間内に表皮に分泌され、すぐに肌のバリア機能が再生されますから、心配しすぎることはありません。

また、肌を傷つけないように気をつければ、保湿するためのスキンケア製品は、基本必要ないでしょう。つまり洗いすぎなければ、本来は洗顔後に何もしなくてよいのです。

とはいえ、乾燥が気になるからやっぱり何か使いたいという場合は、オイルやワセリン、ヒルドイド、セラミドなどの保湿剤を使うのがおすすめです。

塗るときは軽くのせる程度にとどめ、マッサージしたりすり込んだりなどの刺激は加えないように注意しましょう。

ただし、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患のある方は、ある程度汚れを落として保湿薬などを塗るほうが効果的なこともありますので、かならず皮膚科の医師に相談してください。

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化粧水はマストアイテムではない

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