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生き方

「あの人じゃなきゃダメ」指名される人になるための"マーケティング思考”

櫻橋淳(株式会社HRインスティテュート 取締役 シニアコンサルタント)

2020年03月19日 公開 2022年07月22日 更新

 

ビジョン(目標)を立て、将来から現在を逆算していく

外部環境の変化と自分の強み・弱みを把握できたら、次にビジョン(目標)の設定に進みましょう。これは企業においては戦略目標の設定にあたります。これから進むべき方向性を定める上で重要なポイントです。

目標を立てる時には、「Will(したい)」「Must(すべき)」「Can(できる)」の3つを意識しましょう。この3つの要素が重なる部分にこそ、自分にとって最も強いビジョンになるものが潜んでいます。

ここで強調したいのは、ぜひ「Will」を忘れないでほしいという点です。

企業におけるマーケティングでも同じですが、中長期的に「こんなことをやりたい」「こんなことを実現したい」という思いは、いざ実行する段階に入った時には強いドライバーとなってくれますので、キャリアを考える時には特に忘れないで頂きたいのです。

そして「Will」「Must」「Can」の3つを踏まえてビジョンを描いていきます。その際には、20年後→5年後→1年後のように、現在から見て遠い時点から考えていく、いわゆる「バックキャスティング思考」で行います。

さらに、遠い未来の自分の姿を思い描くにあたっては、その方向性を定める上で「価値観」が重要な役割を果たします。

価値観は、どういうシチュエーションでどういう行動をとったかという、自身の経験の蓄積によって培われてくるものです。そのため、自分の強みを洗い出すにあたり、過去に遡って自分の経験を棚卸する中で見えてくるものなのです。

 

誰にどのような価値を提供するのか

ここまで来たら、次は誰にどのような価値を提供するのかを具体的に定めます。

まずは市場を細分化し(セグメンテーション)、その細分化した市場の中でどこに狙いを定めるかを設定します(ターゲティング)。そして、そのターゲットとしたお客様の心の中に、自分をどう位置付けるかということを考えます(ポジショニング)。

なぜ市場を細分化するのでしょうか。それは、私たちは誰もが(企業も同じですが)、時間も体力も資金も、そして協力してくれる人も無限には確保できないため、あらゆる市場にアプローチしようとするとどこも中途半端になってしまうからです。

だからこそ、自分の強みを最大限発揮できそうな領域を絞り込む必要があるのです。自分をマーケティングする場合には、自分を雇ってくれる企業でもいいですし、自分個人と取引をするお客様でも構いません。全体をある一定の価値観に従い分解し、特に自分の強みを活かせる相手を見極めましょう。

ポジショニングは、世の中のお客様(生活者、消費者等)に対して、自分や自分の企業がどう思われたいかを定めるということです。相手から自分がどう見られたいか、がポジショニングの本質です。

何かしらで自分が一番になれる領域を見つけ出すことができれば、圧倒的な優位に立つことが可能になります。日本で最も高い山は誰もが知っているのに対し、2番目に高い山について知っている人は減ってしまいます。

そこからもわかるように、一番であることは高い認知度を約束してくれるため、そこがしっかり定まると自分から売り込む必要がなくなります。

これがバリュープロポジション、つまり「価値をつくる」というところにつながっていきます。

実現すべき価値とは、社会、生活者、消費者が求めている価値と自分が強みを活かして提供できる価値がかけ合わさった部分にこそあります。それを自分が提供できればよいのです。それを提供できるのが自分だけなのであれば、さらによいでしょう。

相手が求める価値は外部環境の変化によって変わっていくため、外部環境の変化をつかみます。自分にどのような提供価値があるのかは、自分自身の過去の経験から強みを洗い出す中で、ぜひともつかんで頂きたいと思います。

 

マーケティング思考を活かして「売れる自分」になる

ここまで述べてきたように、マーケティングの要諦は企業でも個人でもまったく同じです。ポイントは相手をよく知り、自分の強みをよく知るということです。よく知られている4P(5P)という価値を届ける仕組みについては、そこが定まった後の話です。

マーケティングの考え方を活用して、自分自身をマーケティングし、ぜひ売れる自分自身をつくって頂けたらと思います。

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