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サーベイ・フィードバックは「働き方改革」に役立つか

中原淳(⽴教⼤学 経営学部教授)

2020年03月30日 公開 2022年03月04日 更新

自分たちの働き方は自分たちで決める

横浜市のサーベイ

上図5-3を見てください。このグラフからは、業務を減らすことなく「時間キャップ(=勤務時間に制限を設ける)」だけを行うと、やりがいや学校への愛着が低くなり、多忙感とストレスが高くなって、健康不安を訴えたり、離職を考えたりする人が増えることがわかりました。時間制限を設けながらも、業務量を見直す必要があることが、データを通じてはっきりと見えてきたわけです。

そのうえで行ったのが、サーベイ・フィードバックを用いた長時間労働是正のプロジェクトです。具体的には、1つのモデル校で、下記のプロジェクトを行いました。

まず行ったのは、モデル校の内部に変革のコアチームをつくってもらい、データを基に話し合うことです。校長、副校長、一部の主任、ミドル、若手教員が集まり、自校のデータを基に、「何をゴールとするのか」「いつまでに何を実現し、どのようにフォローアップするのか」「現場の先生方をどう巻き込むか」について話し合いました。

そして、コアチームの先生が、様々な現場で、調査結果をフィードバックする「働き方ワークショップ」を開催しました。「ねぎらう+感謝する」「このままの状態で続くのか、持続可能性を問う」「職場の認識のズレを明らかにする」といった流れでフィードバックを行い、教員全員が実践できるアクションプランを出し合いました。その結果は、下図5-4に示すグラフのような結果が得られました。サーベイ・フィードバック前後で、大きく長時間労働が改善しています。

残業削減効果

現在では、このモデル校での取り組みを基に、横浜市の80校の学校が同様のプロジェクトに取り組み、成果をあげています。

サーベイ・フィードバックは、「自分たちの働き方は自分たちで決める」手法なので、現場のメンバーが打ち手に納得感を持てるという長所があります。働き方改革に行き詰まっている会社や組織にとっては、ぜひ試していただきたい手法です。

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