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通勤ラッシュ復活で明白になる「ホワイトカラーの人余り」 “ウィズ・コロナ”が突きつける現実

竹内謙礼(有限会社いろは代表取締役)

2020年06月29日 公開 2023年11月02日 更新

 

「良い商品やサービスがあれば大丈夫」という考えは捨てるべき

家から出なくなった消費者を動かすためには、顧客情報を入手して、プッシュ型の販促を仕掛けるしか打開策はない。短期、中期では新規顧客の獲得が難しかったが、長期戦略では人が動き出すので、コロナ禍よりは顧客情報が獲得しやすい環境にある。

新型コロナウイルスが収束したからといって、巣ごもり消費がなくなったわけではない。家でじっとしている消費者を叩き起こすためには、顧客情報を獲得して、既存客の厚みを増して、情報発信をする体制を整える必要がある。

来たる第2のコロナウイルス対策に向けて、衛生管理や事業のリスク分散をすることも大事だが、それよりも顧客を囲い込んで情報発信をする仕組みを作ることのほうが、危機的状況に陥った時の売上の安定性につながる。

お客様を動かすプッシュ型の販促は、紙媒体のダイレクトメールやハガキに加えて、メルマガ、LINEなどのネットツールが有効である。特にリピート率が高いサービスや、地域密着型のビジネスであれば、お客様にLINEの会員に登録してもらい、定期的に情報を受け取ってもらえる体制は整えておいたほうがいいだろう。

「商品やサービスのよさがわかれば、自然とお客様がついてくれる」という考えは、これからの時代は捨てたほうがいい。人とのゆるやかなつながりだけでは、巣ごもり消費者の購買意欲を喚起することはできない。

定期的に情報を発信して、お客様との強い絆を作った企業だけが、巣ごもり消費時代を生き残ることができるのである。

 

サービス業の「人不足」 長期的にはむしろ加速?

もうひとつ、長期戦略で対応しなくてはいけないのが、集客や予約が急増した際の対応方法である。収束に向かって段階的に客数が増えていくとしても、その数は急激に増えていくことが予想される。

開店休業状態でスタッフを休ませていた店舗は、急な消費拡大に人手不足に陥る可能性が高い。また、急に感染予防策をとった店舗は作業効率も悪く、スムーズにオペレーションが回らないことも考えられる。

特に飲食業や宿泊業に関しては、早々に従業員やアルバイトを削減させてしまった経緯があり、消費が戻り始めた際の人材難が予想される。仕事を失った人たちは、感染拡大期に業績が好調だった宅配業やスーパーに転職していることが考えられるので、そこから再びサービス業に働き手を呼び戻すことは至難の業といえる。

彼らを再雇用しようと思っても、解雇された恐怖心から、サービス業に戻ってくる可能性は低い。景気が回復した後のサービス業の人材難は、新型コロナウイルスの影響を受ける前よりも、さらに厳しい状況が待ち受けているといえる。このような事態を回避するためにも、自粛期間中の従業員はしっかり確保しておいたほうがいいだろう。

また、人材不足で給与や時給が高騰することも考えられるので、長期戦略に向けて、早い段階から少しずつ商品やサービスを値上げする必要もある。客単価を上げて質の高いお客様だけに絞り込んで、高い利益率で少人数のスタッフで回すビジネスモデルを構築することができれば、突然、来店者数が増えて店がパニックに陥るような事態にもならないだろう。

多くの人が感染の恐怖から解放されて、飲食店やアパレルの店舗に人が押し寄せてくると思われる。財布の紐は固い状況が続くが、消費者がストレスを発散するパワーのほうが大きく上回るため、多少料金が高い商品やサービスでも、人は買い求めるはずだ。

巣ごもり期間中の販促のことだけを考えるのではなく、「新型コロナウイルスの収束後に、人件費がどのくらい高騰して、どのくらいの料金設定にすれば商品が売れるのか?」という値上げのシミュレーションを中期の段階でおこなっておいたほうがいいだろう。

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通勤ラッシュの復活とともに問われる「ホワイトカラーの存在価値」

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