テレワークでの水道代、光熱費はどうなる?
【3】水道光熱費
在宅勤務によって従業員が自宅で業務を行うということは、これまでオフィスで過ごしていれば発生しなかった自宅の電気、水道代の負担が増えるわけです。この負担をどう考えればいいのでしょうか。
これについても通信回線費用と同様、プライベート使用分と業務使用分との切り分けが困難なため、個人負担としてもらうケースが多いように考えられます。なお、こちらも週5日フルで在宅勤務をしてもらう場合には、一定金額を手当として支給する企業も少なくありません。
在宅勤務が週1日程度の頻度で運用されている場合、上述した費用などについて従業員の個人負担としたとしても大きな不満がでることは少ないかと思います。
ただ、今般の新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、「原則在宅勤務」となった場合のように、ほとんどの時間を自宅で業務を行うことになることに加え、在宅勤務がこれからいつまで続くのかもわからないという状態に置かれると、自宅の水道光熱費の負担が従業員にとって重くのしかかることも予想されます。
一部の企業では、日々の光熱費等に充ててもらうよう月額3,000円~10,000円程度で臨時手当を支給する取組もなされているようです。
【4】環境整備費用
在宅勤務が通常のオフィス出勤のイレギュラーという位置づけではなく、メインでの勤務体制に据えられ、かつ長期間にわたり行われるということになると、オフィスでの勤務と同じような快適に作業ができるような環境を整えたいという希望も出てくるかもしれません。
具体的には、「これまで食卓用のローテーブルで作業していたが、腰が痛くなってきたためきちんとした作業テーブルを購入したい」といった声や「マルチプルモニターで作業したい」というような、より生産性が上がるような作業態勢を整えたいという要望があがることも予想されます。
こうした場合、従業員に「テレワーク環境を整えるための一時金」として、テーブルやモニターを購入するための費用負担として10,000円から30,000円程度で支給する企業も出てきています。
通勤手当のカットには正当性も
テレワークによって通勤手当が発生していない従業員の通勤手当はカットしていいのでしょうか? これもよく問題になるポイントです。
結論からお伝えすると、実費相当の支給のみ行うことや支給を行わないとすることも可能と考えられます。通常、通勤手当については賃金規程において「通勤手当は、電車、バス等の公共交通機関を利用して通勤する者に対して、1か月定期券相当額の上限を30,000円として支給する。」といった記載をしているかと思います。
通勤手当は他の手当と異なり、定期券相当額の実費分として支給している企業が多く、賃金規程にも「公共交通機関を利用して通勤している者に支給」と明確にしてあるのであれば、通勤が発生しなくなった場合には支給を要しないと考えられます。
ただ、実際に通勤手当は実費分しか支給しないとする運用を行う場合には、すでに定期券を購入している従業員もいるかもしれないため、実費支給とすることを開始する1か月前等余裕を持ったアナウンスを行うことが、従業員の納得感を得るためにも必要かと考えられます。
また、新型コロナウイルスへの対応で急遽在宅勤務を開始するといったケースでは、こうした就業規則上の明記がないケースもあるかもしれません。この場合、規定があるケースよりも、慎重に進める必要があります。
まずは実費支給とすることに従業員の個別同意を得る等、従業員の理解を得て進めることが必要と考えられます。