なぜZoomが爆発的に普及したのか?
少し自虐的な言い方かもしれませんが、オンライン商談の広まりが遅れた日本には、メリットもありました。「後出しじゃんけんは有利だ」という感覚に似ています。
私たちが、オンライン商談をせざるをえなくなったタイミングを待ち受けていたかのように、Zoomなどのビデオ会議ツールが本格化していました。
人気が広まりユーザー数が増えると、操作性やセキュリティ面などが強化されていくのが世の常です。私たちは、テレワークを余儀なくされ、商談方法で困っているまさにときに、使いやすくグレードアップされたオンライン商談ツールに出会える幸運があったのです。
オンライン商談をおこなうためのツールは、Zoom、Skype、Microsoft Teamsなどいろいろとありますが、Zoomの知名度は群を抜いています。ある大企業は、社内ミーティングはTeams、取引先など社外ミーティングはZoomという使い分けをしていますが、それほどZoomを無視できないということです。
Zoomは、2013年1月、米国で始まり、2015年にはすでに米国営業マンの商談用ツールとして普及し出しています。2017年に入ると日本語対応になり、徐々に日本でも認知されるようになってきました。
そして2020年、余儀なくされた外出自粛により、日本でも普及の勢いが増しています。世界では、1日平均の会議参加者数(ユニークユーザー数ではない)が3億人を超えているそうです(2020年4月時点)。
Zoomがここまで普及する理由は、その操作性の簡便さ(解説書を読まなくても直感的に操作可能)、映像や音声のクオリティの高さ、そして無料機能の豊富さです。オンライン商談を進めるうえで、充分な機能を有しています。
営業関係者が知っておくべきZoomの機能(ほかのツールでもほぼ同じ)は、おもに次の6点です。
①カメラが付いているデバイス(ノートパソコン、タブレット、スマホ)があればかんたんに商談できる
②いままでのアポ取りを彷彿させるスケジュール予約機能がついている(これは便利!)
③パワーポイント、エクセル、PDFなどを駆使したプレゼンテーション機能が充実している
④書き込みながら説明できるホワイトボード機能がある(とても楽しい!)
⑤レコーディング機能があるので、商談現場を振り返ることができ、議事録作成や能力向上に役立つ
⑥大人数商談やセミナーができる(グループセッション、個別チャット、挙手など機能満載!)
ざっと整理するだけで、これだけの特徴が出てきます。世界で爆発的に普及している理由がよくわかるというものです。
「ITオンチの上層部」がもたらす悲劇
冒頭では揶揄して書きましたが、会社の上層部がITオンチで固められているということは、笑い話では済みません。確実に、会社に弊害をもたらします。
実際に、知人の会社では、テレワーク後に営業件数が明らかに激減しているので「営業マン全員に、Zoomを駆使して営業をおこなうよう号令を出してほしい」と経営層にお願いしたところ、「テレビ会議システム導入の失敗で懲りたこと、単なるブームに飛びついても外出自粛が終われば元に戻るので無駄なことなどを理由に、一喝された」とのこと。
Zoomとテレビ会議システムを同一視するところが、ITオンチらしいところです。そして、いま社内の状況は、ほとんどの営業マンたちが「訪問できない、電話で商談がやりにくい」の二重苦で、業績悪化が激しいのですが、経営層は「君たちの工夫が足らないからだ」と営業社員に責任を擦り付けているとのことです。みなさんは、対岸の火事として済ますことができますか?
さらに、次のような話もあります。ある営業マネジャーがZoomによるオンライン商談の活用を打診したところ、ITオタクの部下がZoomのデメリットを並び立てるので、Zoomの活用をあきらめたとのことでした。
かといって代替案も出ないので、オンライン商談が結果的に進まなかったとのことです。しかし、社外の知人などからZoomによるオンライン商談がうまくいっているという情報が続々と入るようになり、結局、Zoom商談を始めたということです。
反対した社員は、単純に「流行しているZoomが嫌いだった」という個人的な了見の狭い判断を言っていただけで、それによる1か月の出遅れは痛いと嘆いていました。これもひとつの悲劇です。
ときには、知ったかぶりの社員の意見よりも、世の中の動きという"情報"に基づく判断も必要です。世の中で流行るのは、それなりに理由があるはずです。"できない理由"ではなく、"まずは実行"で対応してほしいものです。
これだけニュースになっているのに、いまだにZoomを活用していない営業関係者は、「Zoomで営業ができるわけない」と思い込んでいませんか?