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社会

「コロナを止める最後のチャンス」東京都医師会長の悲痛な叫び

尾崎治夫(東京都医師会会長)&吉澤恵理(医療ジャーナリスト・薬剤師)

2020年08月13日 公開 2022年07月05日 更新

 

政治家の医学的知識の欠如

尾崎氏や医師会と安倍首相や政府には感染症に対する温度差を感じるが地方行政でも同様な問題があるのではないだろうか。感染拡大の陣頭指揮を取る首長のウイルスへの理解に疑問符が付けられている。対策の緩さは「ウイルスの医学的理解の欠如」といった点が問題の一つではと感じる。

「国として感染症対策をどう取り組むのかという組織がない。既存の組織の中に分科会を作っただけでその位置付けや分科会の意見をどの程度反映するのかが都道府県でもバラバラ。

感染症のプロの意見を尊重する仕組みができていない。都合の良いときは使うし、都合が悪い時は遠ざける。専門家の意見が恣意的に使われてしまい、専門家が正しい予防法を提言したときにどう取り入れ経済を回していくかということができていない」

国民から見ても専門家の意見をもっと取り入れるべきだと思う場面もあることは間違いない。毎日の感染者数も専門家のサポートがあればもっと有益な発信となりそうだ。

「感染者数が今日は何人だけではなく、

・今日の数字は何日前の感染が反映されている
・感染者は中等症が増えているので今後1~2週間ほどで重症化する人が出てくる可能性がある
・中等症が増えているということは重症化のリスクが高い50代以降の人に感染が増えていることを意味するので若い世代の皆さんには感染拡大をしないよう注意して欲しい

などと感染者数が示す背景を分かり易く説明するべき」

確かに尾崎氏が言うようなプラスアルファの情報があれば、より感染拡大を防ぐ行動が取れるのかもしれない。そういったことができていない現状は専門家と国が理想的な関係が築けていないということなのだろうか。

 

医師会と政府の対立しているのか?

安倍政権と医師会は非常に近しく信頼関係も深いイメージだったが、現在のコロナ感染拡大防止については対立的な関係にあると映るが実際はどうなのだろうか。

「安倍政権と医師会が親密というのは前医師会長になってからのこと。歴史を見れば23年間医師会長を務めた11代会長の武見太郎さんの時、厚労大臣を呼びつけて診療報酬について論議するといった時代もあります。

医師会は国民の健康を守るための医療をどう展開するかに対して与党と必要な連携をするのであって必ずしもベッタリと与党を応援する組織ではありません」

なるほど。現在の感染対策においては与党と方向性の違いがあるため対立関係にあるように見えるということなのだろう。

「我々医師会は国民の健康を守ることが使命であり頑張っています。経済を動かすために頑張りますとは言えません。あくまで医療者として感染症を防ぎたい」

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