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社会

「いつ死んでくれるんだ」と凄む上司…SOSを発した部下を救った“退職代行の反撃の一手”

清水隆久,増森俊太郎,吉田名穂子(弁護士法人川越みずほ法律会計)

2020年09月04日 公開 2022年06月02日 更新

 

損害賠償のための「有効な証拠」とは?

残業代請求と並び、退職代行と同時にご相談いただくことが多いのが、「パワハラ問題」です。相談者の方からよく聞くお悩みは次のような内容です。

「上司が怖くて退職したいとすらいえない」
「退職したいといったら大勢の前で叱責された」

このような会社は、多かれ少なかれパワハラの体質があると考えます。

実は最近までパワハラについて明確に法律で規定されていませんでしたが、大企業では2020年6月から、中小企業では2022年4月から(努力義務期間あり)施行される「労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)」では、企業側にパワハラを防止する義務を課すことになりました。

【パワハラの類型】
・暴力や傷害などの身体的攻撃
・遂行不可能な業務を与えること
・仕事を与えないこと
・私的なことに過度に立ち入ること
・人格を否定する言動

弁護士に退職代行を依頼する際は、パワハラの証拠があれば企業側に慰謝料等の損害賠償をあわせて請求することができます。さらに、パワハラによって精神疾患等を発症している場合は、治療費等を含めた損害賠償請求が可能です。

パワハラ行為がある場合には、以下のような書類やデータが有効な証拠となりますので、損害賠償請求を考えている方はあらかじめ用意しておくと手続きがスムーズです。

【パワハラによる損害賠償に有効な証拠】
・パワハラが行われていたことが明らかな音声データや動画データ
・理不尽な叱責やいじめなどがあったことがわかるメールやメッセージアプリのスクリーンショット
・パワハラ行為が具体的に記載されている日記やメモ

なお、パワハラでの損害賠償請求は証拠の有無や強さが重要ですので、退職代行の際に弁護士に実情を話して、請求可能かどうかを判断してもらうと良いでしょう。

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