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超高齢社会だからこそ、道路は特定財源に戻せ



2020年10月12日 公開

石原伸晃(衆議院議員),河合雅司 (人口減少対策総合研究所 理事長)

石原伸晃

コロナ禍、さらに今後の人口減少により、日本の経済の見通しは非常に厳しい。国の予算も限られている中で、いかに成長分野を創出すべきなのか。自民党の石原伸晃元国土交通大臣と、人口問題の第一人者で、このほど『未来を見る力』(PHP新書)を上梓した人口減少対策総合研究所の河合雅司理事長が語り合った。

 

欧米や中国に見劣りする研究開発費の底上げを

河合雅司

(河合)今後日本の労働力人口が激減していきます。2020年から2040年にかけて、20~64歳人口の働き手世代は約1400万人も減ってしまいます。このまま何もしなければ、15年後20年後の日本経済は確実に衰退します。

安倍政権はアベノミクスの3本柱の一つとして、成長分野への育成を掲げていましたが、結局日本の絶対的な武器となるような成長分野をつくることはできなかった。これは菅義偉政権の大きな宿題です。この点について、石原先生はどうお考えですか。

(石原)科学技術の振興に関しては、現状の省庁の体制は不十分だと言わざるを得ません。例えば原子力一つとってみても、役所に担当する局がないんですよ。また、バイオテクノロジーは経産省と厚労省に、テレコム(電気通信)は総務省と経産省に分かれています。司令塔は一つであった方がいい。

そして、残念ながら自民党内の関心も高くありません。私は、党内で科学技術分野振興の旗振り役になっていて、若手と勉強会を行っているのですが、党内でこの分野に興味を持っているのは数人ですね。

ちなみに自民党内でもっとも人材が充実している分野は何かといえば、今でも農業です。私も農業の役員を務めていますが。

ただ、イノベーションを起こすために、成長分野の企業は税制面で相当優遇されています。また、医薬品、自動車関係、電子系など、さまざまな分野でかなりの額の研究開発費が投入されています。それでも、研究開発費は欧米、中国に比べると少ない。研究開発費をさらに増やさないと、競争に負けてしまいますね。中国は国を挙げて行っていますから。

(河合)私はこれからのイノベーションは、新技術の開発だけでは通用しないと思います。それをシステムとしてどう世界に広げていくか、ということとセットにして考えていかなければ世界の中で勝てません。

たとえば、製薬の分野を例にとりますと、地球温暖化に伴って、日本で流行する病気の種類が変わってくる可能性があります。ところが、これまでは熱帯や亜熱帯で流行する病気の治療薬の開発はあまり進んできませんでした。かつて熱帯や亜熱帯には貧しい国が多かったこともあり、マーケットとして魅力がなかったからです。

しかし、こうした国々も経済発展を遂げましたし、世界中で温暖化が進み、先進国においても熱帯や亜熱帯に特有だった病気が流行するようになれば、先進国の製薬会社も開発する薬も変えていかなければなりません。今後は、いち早く熱帯や亜熱帯で流行してきた病気の治療薬を開発した会社がマーケットを席巻することになります。

さらに考えなければいけないのは、医薬品の多くは生ものということです。開発途上国の港まで医薬品を運ぶだけでは使い物になりません。本来はそこから先、患者がいる地区にまで冷蔵しながら運ばないと薬が劣化してダメになってしまいます。

途上国のマーケットに食い込むことを考えるなら、冷蔵庫や冷蔵トラックの配備、道路の整備も含めて、パッケージ化して売り込まなければならないのです。もし日本一国だけではできないなら、国際協力のしくみをつくっていなければなりません。

顧客が満足し得るようパッケージとして売り込んでいくことは、医薬品にかぎりません。どの分野にも共通して言えることです。こうした戦略的な取り組みについて、政府としてバックアップできるところはしていくということが求められています。

(石原)医薬品だけではなく、流通システムも含めて輸出しなければならないということですね。

それを伺って思い出したのが、工業団地です。各地で雇用のために工業団地が誘致されてきましたが、工業団地の排熱を、地域に供給するシステムが栃木にあるんです。こうしたシステムも、セットで輸出できるかもしれませんね。

これから世界中で高齢化が起こります。日本は高齢化先進国として、高齢化に立ち向かった経験を持っているのですから、それを武器にしなければいけない。しくみごと、まちごと売り込んでいく、そこに日本の活路があるように思います。

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