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消えた織田信秀の四千貫はどこに?… 『麒麟がくる』が描く“室町幕府の腐敗”

2020年10月31日 公開

前田慶次(名古屋おもてなし武将隊)

 

「幕府への四千貫の寄付」が示した意味

信長の父、織田信秀が幕府に修繕費として四千貫を寄付した。「麒麟がくる」の中でも斎藤道三がこのことについて、「今川家は600貫、我が土岐家は一銭も出していない」という印象的な場面が御座った。

織田家が如何に金持ちか、経済を動かすやり手の一族という演出をしていると、その時点では儂は考えていた。しかし今回、それだけでは無かった事が判明した。

信長曰く、「修繕したはずの塀を見ておらぬ、最近気になる」と。

その意味は、「その金は何処に行ったのか、光秀がお主調べろ。」と間接的に伝えている。すると、光秀自身が丹波の領土を拝領。そこは八幡宮、帝の領土でもある。そのことにより、光秀は信長より押領の疑いをかけられる。

しかしこれは、摂津晴門の策略である。

摂津はドラマ冒頭より寺社からの貢金を懐に入れたりするなど、誰が見ても悪者なのが明白であり、幕府の腐敗する象徴として描かれる。「織田家からの寄付金もそういう輩の手に落ちておる」と光秀は確信し、摂津を糾弾する。

この時の演出が天晴であった!

光秀は論破し、摂津は言葉を濁す。摂津の肩越しに語りかける場面は、あえて光秀の表情が分かりづらいように照明を当てず、顔を暗くした。

光秀という人物が、世を平らかにする為に奮闘する真面目な人間という面以外にも、敵と見なすと恐ろしいという"黒い光秀"を演出した。正に、本能寺の変に繋がる様な表情を見せた。

少しずつ斯様(かよう)な表現を増やしていき、光秀の心情の変化をドラマでは見せていくのであろう。

 

服装の色で表現された、光秀の心情の変化

光秀は幕臣となってからの服装、直垂(ひたたれ)も変わり、重厚感溢れる身形(みなり)となったが、色合いが随分と黒くなった。戦国期において黒は貴重な色であり、格が上がった表現であるが光秀の黒さもじわじわ表現する為と心得た。

初期の若かりし頃の光秀は水色、これは明智家の色でもある故に納得できる。ドラマを通して見ると、服装の色が水色から色が濃くなっていったのが分かる。それは光秀の成長もあるが、色自体が持つ意味を視聴者に訴えておるはずじゃ。

もう一人、足利義昭の衣装にも注目。義昭の黒と白、二色という分かり易い色使い。黒は何色にも染まらない、悲田院を作りたいと民の為の政治をしようとする、若かりし頃からぶれない心を持つ義昭を表現するとも取れる。

白は何色にも染まる、流されやすいことも示す。信長がいない所で勝手に話を進めてしまう、将軍時代の義昭を表す。二面性のある義昭を衣装の色で表現している。

 

「信長の考える将軍の地位」と「塀の装飾」の深い関係

四千貫問題に繋がる御所の塀、以前から何度も登場するが、いっこうに直らない。塀が直らない原因が、幕府の腐敗を示す以外にも意味がある。

今回、信長が築城した二条城が完成した。

以前の塀と比べやすいように、光秀が御所を見つめる場面まで登場する。

信長が築いた塀は白漆喰の塀であるが、以前の塀には五本線の装飾があった。この装飾は格式を示している。五本線は最高位、線が無ければただの塀。

つまり、信長は将軍が最高位では無いと考えていることを塀の装飾を使い表現した。『麒麟がくる』の信長は、「将軍は帝の門番か」と解釈する男であるからのう。

さらに突貫工事で作り上げため、防御力に関係ない装飾をする工程を省くことにより、急いで作らせた事を表現したかったのか。どちらか一方かもしれんが、両方の意味があると儂は見た。

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