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生き方

「捨てることができない人」が永遠に不幸になる“納得の理由”

加藤諦三(早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員)

2021年05月10日 公開 2024年12月16日 更新

「捨てることができない人」が永遠に不幸になる“納得の理由”

心の整理は悩みの解決に不可欠であり、「心の整理」とは「事実の整理」。いるものかいらないものか、自分にとって大切かどうかをはっきりさせ、漠然とした不安の実体を知れば、悩みをスリム化できる。悩み相談を数多く受けてきた加藤諦三氏が「心を整理する」方法を具体的にアドバイスする。

※本稿は、加藤諦三著「心の整理学 自分の「心理的な現実」に気づくために」(PHP文庫)から一部抜粋・編集したものです。

 

人生の目的があれば楽になる

人生のさまざまなトラブルを「さばく」ことができる人は、目的が分かっている。目的が分かっているから、何を捨てて何を捨てないかの選択ができる。この「目的を明確にした生き方」をするからこそチャンスは来る。

逆に、八方美人でどこに敵がいて、どこに味方がいるのかも分からない生き方、十字路でどっちに行こうかとふらふらしているような気が散った生き方、このような生き方をしていれば、あなたには幸せになるチャンスは来ない。

目的がない人はなかなか欲を捨てられない。目的がない人はいろいろなガラクタをたくさん持って歩いている。そして一人で人生の荷物をたくさん背負っているつもりになっている。それが悩んでいる人の典型的タイプである。

例えば雪のアルプスに登ることが目的だとする。たくさんの荷物を持っていく人はいない。余計なものは皆捨てて、必要最小限の荷物にして、登りだす。それは目的がハッキリとしているからである。

具体的な目的のない人は、どうしても「あれも欲しい、これも欲しい」になってしまう。これらの悩んでいる人は皆欲張りなのである。これらの人は、一つのものをしっかりとつかんでいないのに、もう一つのものをつかもうとしている。

自分はすでにいっぱい持っている。それなのにもっと欲しがっている。もっと取ろうとしてイライラしている。もっとつかめないのでイライラしている。

今生きることに疲れていて、それでもどうしても健康で幸せになりたければ、「どこか自分の生き方は間違っているのではないか?」と考えてみることである。

 

変えるべきは、あなた自身ではなく環境

悩んでいる人は、人生が上手くいかないことの原因をすべて内的なことに求めている。失敗の原因を自分の中に求めてしまう。

だから自分の人生を改善しようとするときに、どういう人とつきあったら良いか、どのような職業を選ぶべきか、そのような「どうしたら良いか」がない。

誰とつきあうかは、私的なことでも仕事のことでも極めて重要なことである。悲観主義の人は失敗したときに、その「どういう人とつきあったら良いか?」という学習がない。

また、失敗の原因を個別具体的なことに求めない。自分の対人関係が上手くいかないのは、自分の服装が悪いからか、言葉遣いが悪いからか、食事のバランスが悪いからか、つきあう人の悪口ばかり言うからか、挨拶をきちんとしないからか、そのようなことは考えない。

楽観的な考え方をするか、悲観的な考え方をするか、その違いは努力できるかできないかである。楽観主義の人は、人間関係で失敗すれば「そうか、今度はこういう人とつきあってみよう。こういう人は避けないといけない」と、つきあい方の改善を考える。

悲観主義の人は、すべて自分の小心が原因と解釈する。「私は人間関係が下手」と言ってしまえば、個別具体的なことでの改良はない。悲観主義の人はまた、失敗すると「自分には能力がなかった」と解釈する。

例えば、お店に入って店員さんの態度が気に入らないときに「店員なんてあんなものだよ」と言う人がよくいる。おそらく、そう解釈することで自分が傷つかないようにしているのであろう。自分で自分を慰めているのである。

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最高ではなく、最善を目指す

著者紹介

加藤諦三(かとう・たいぞう)

早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員

1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科修士課程を修了。1973年以来、度々、ハーヴァード大学研究員を務める。現在、早稲田大学名誉教授、日本精神衛生学会顧問、ニッポン放送系列ラジオ番組「テレフォン人生相談」は半世紀ものあいだレギュラーパーソナリティを務める。

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