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やりたいことがない人は、失敗を恐れている人

2021年08月20日 公開

加藤諦三(早稲田大学名誉教授、ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員)

 

失敗を恐れるから失敗するのだ

“やっぱり失敗した”という人がいる。もともとその人は、失敗することを恐れていたから、このような言葉が出るのであろう。“失敗しはしないか”という不安が、ことにあたるために必要な気持ちの集中を奪っていたのである。

寝よう寝ようとするから、かえって眠れない人を不眠症とわれわれはいう。“眠れないのではないか?”と常に恐れているから眠れないのであって、恐れなければ眠れる。そうした意味で不眠症とは正確には不眠恐怖症である。

失敗についても同じで、“やっぱり失敗した”という人は失敗恐怖症なのである。失敗するのではないか、と恐れて自分にプレッシャーをかけてしまう。そして自らつくりあげたプレッシャーを次第に強くしていき、最後には自分自身を敵にしてしまう。自分が自分をきらいになってしまう。

人間というのは不安でいると、自分の弱点の犠牲になりがちである。

あるテニスの選手が、自分は強力なサーブを打てないと悩んでいる。すると自分のボレーのいい才能をいかそうとはしない。すべてのすぐれたテニスプレーヤーが強力なサーブを打てるわけではないのに。

完全主義者は、自分に適したこと、自分にふさわしいこと、をやろうとするのではなく、他人を基準にしてものごとを考える。完全主義者は心理的にこわくて失敗できないから完全であろうとするのである。

不安から成功を望んでいるだけに、失敗するとすぐに落胆してしまう。

もっとも、かつての金田正一氏のような大投手でも時にはそのようなことがあったようである。かつて金田投手は森徹氏(元中日)に打たれた時のことを次のように語っている。

すでに二点リードしていたが、延長戦でホームランを打たれて負けるんじゃないかと、ふと思ったという。そこでホームランを警戒することを意識して、投げることがお留守になってしまったという。

あれだけの大投手でもこうなのだから、われわれが失敗恐怖症になるのは当然かもしれない。したがって、失敗を恐れるからといって自分を異常と思ってはならない。

ただハッキリさせなければならないのは、失敗を恐れる完全主義者は他人を基準にものごとを考えがちだ、ということである。われわれは自分らしくあればいいのである。

 

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