コロナ禍の「補助金」を“維持する”だけでなく“好機に変える”戦略
2021年02月24日 公開 2022年10月17日 更新
コロナウイルス感染症の拡大を受け、業態を問わず多くの企業が営業時間短縮・非対面化サービスへの切り換えなど事業形態の転換を迫られている。
飲食店には休業手当を含む様々な支援金・補助金が支給される他、業種問わず中小企業には補助金制度が交付され、売上減の企業を救う施策の交付が続く。その多くは目下の資金繰りの補助として使われるが、これを機に事業計画を立て直したり、勝機とみなして新事業への取り組みを始める企業も徐々に増え始めた。
補助金制度の基軸として事業のオンライン化・IT化に対する給付金も設けられているが、デジタル化に踏み切れず活用しきれていない中小企業も多いのではないだろうか。
本記事では補助金を活用し多数の中小企業のオンライン事業化をサポート、コロナ禍にも関わらず大幅な事業転換を成功させてきた森田洋生氏に、今年企業が取り組むべきオンライン化施策と事例を取材した。〈取材・文:遠山怜〉
今年度も交付か?「中小企業等事業再構築促進事業」「小規模事業者持続化補助金」
2020年は日本商工会議所が交付している小規模事業者持続化補助金、経済産業省が促進する中小企業等事業再構築促進事業を利用して、当面の売上を補填するだけではなく事業を大きく転換したいという企業の相談が私のところに増えました。
新分野展開・IT化に対する補助金交付が設けられていることもあり、これを契機として活かし、従来のビジネスモデルやシステムから脱却したいと考える経営者の方が多いのでしょう。
とは言え、私自身が鹿児島という一地方に移住していることも関係していますが、デジタル化に慣れない企業がまだまだたくさんあります。また、補助金制度自体を知らない中小事業者の方も多くいるので、事業転換計画を立て申請を出すこともハードルが高い。
補助金制度の紹介ページを読んでも、ロボティクス化や新規オンラインサービス導入などの文字が並ぶせいもあってか、自分の事業には活用しきれないと考えがちです。
しかし、補助金の交付の対象として、大半の企業が簡単に導入できるサービスや取り組みがあります。それが、サービスの動画教材化とDRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)の掛け合わせです。
本年度も同様または近似した補助金制度が交付されると想定されますので、補助金をうまく活用しながら攻めの経営に転換し、事業のオンライン化に切り替える足場としてぜひ取り入れていただきたいと思います。
対面型サービスを“動画教材化”することで生まれる可能性
従来、対面型で教育・研修サービスを提供していた方にまずオススメしたいのが、動画教材化です。
今まで対面で提供していたセミナーをzoomでの生配信に切り替えた企業の方も多いと思いますが、セミナー内のノウハウが確立されていて、受講者と双方向的なやり取りが少ない講座内容であれば、これを機に動画を撮って教材化してしまう方がいいでしょう。コンテンツとしての使い道が広がります。
展開例としては、まずはUdemyというベネッセが運営しているオンライン学習プラットフォームで販売を始めるのがオススメです。プログラミングやAI関係の動画の提供が多いサイトですが、それ以外にもビジネススキル・自己啓発など多様なビジネスコンテンツを取り扱っています。
コロナ禍で学びたい人はオンラインでの受講に切り替えているため、このようなオンライン学習プラットフォームに出品すれば、集客に苦労せずに購買層とマッチングしやすくなります。受講者の感想もコメントで付けられるため、セミナーの率直なフィードバックや改善点も得られやすいでしょう。
動画教材化というと動画編集や撮影のテクニックがいるだろうと二の足を踏む人もいますが、実際にはノウハウがしっかりしていれば、そこまで高いレベルの動画でなくても問題ありません。
マイクだけ高性能な物を買って音声がクリアに撮れていれば、あとは手元にあるスマホやパソコンの撮影機能で十分事足ります。また、教材としては時間が長い物の方が売れやすいので、過度の編集をかけてコンテンツの過剰圧縮を図る必要はありません。