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社会

“パートナーシップ制度”って実際…? 僕たちが「同性婚訴訟」をする理由

こうぞう

2021年06月24日 公開 2022年06月06日 更新

 

カミングアウトする? しない?

僕はゲイであることを昔からオープンにしているのですが、それは17歳のときに好きになった人の言葉が大きいです。彼は異性愛者だとわかっていたので、悩みながらも思いを伝えたら、「お前が好きになった奴がたまたま女を好きだっただけで、俺は何もしてやれないけど、話ぐらいならいつでも聞くぜ」と言ってくれました。

そんなふうに受け止めてもらえたことで、同性を好きになる自分を肯定できたのだと思います。今も交流は続いていて、同性婚のことも見守ってくれていて心強いです。それまでは、同性愛者の仲間はいても、「男の人が好きって人には言っちゃいけないんじゃないか」という思いが強くあった気がします。

「普通じゃないと思われる」という気持ちが強いと、カミングアウトが難しいのは当然だと思います。親子の縁を切られたり、人との間に溝ができたり居場所がなくなったり、まだまだそんなリスクがある中でカミングアウトを「するべきものだ」とはまったく思いません。

ただ、「言う必要なんてない」というのも、僕の思いとはちょっと違っていて。「みんなが異性愛者である」という前提が強い環境では、自分を偽らないといけない場面が多くなってしまいます。

好きな人の話をするにも、結婚や子供などのライフプランの話題でも、「休みの日は誰と過ごすの」「彼女はいるの」とかも。日常でそういう話題にまったく触れずにいるのって難しいですよね。

そんな場面で「いや僕の恋人は男性で」と、言わなくても生きてはいけるんですけれども、そうやっていろんな会話をごまかすのが僕はしんどいと思うし、一つひとつはたいしたことじゃなくても、ずっとうっすら負荷がかかっているような状態はつらい。

カミングアウトができる社会のほうが精神的に楽だし、望ましいと考えています。でも、「自分もカミングアウトしなきゃ」とプレッシャーを感じるようにはなってほしくないです。

また、「私は理解者だからカミングアウトしてくれていいんだよ」とみずから言うようなことや、「悪いことじゃないんだから、隠さなくていいのに」という認識は、間違っています。カミングアウトは個人が決めることで、言う言わないに他人が干渉するものではありません。

性的指向や性自認で悩んでいる人は、まずは自分が傷つかないようにしてほしい。経験上、味方は必ずどこかにいると思っているので、今、居場所がないと感じてる人も、勇気を持って一歩踏み出して、場所を変えるなりしてみてほしいと伝えたいです。

 

カミングアウトされる立場になったら

僕は「この人なら大丈夫」と思える人以外にもあえて言ったりしているのですが、カミングアウトする多くの人は、相手を信頼していて知っておいてほしいという気持ちがあるから言うと思うので、そこをまず理解していただきたいです。

話を聞いたらなんて言うのがいいんだろうと思う人もいるかもしれませんが、異性愛者と思っていた人が同性愛者だと知ったからって、その人自身が今までと変わってしまうわけではありませんよね。

たとえば「教えてくれてありがとう」と言って、自分の中で受け入れたら、「日本ではまだ結婚できないんだっけ」とか、何気ない話ができればいいのかなと。特に何かをしなきゃということはないと思います。なかには思い悩んでカミングアウトする人もいるので、「何か悩んでいるの? 聞いてほしいことある?」と、受け止めたあとに相手に聞いてみるのもいいかもしれません。

もし受け止めきれないと思うなら、自分は信頼されているんだというところで一呼吸おいてほしいです。そして、自分たちのまわりの人間関係のどこまでが知っているのかを確認して、ほかの人に勝手に話すようなことは絶対に避けてください。

知っているのが自分だけで、一人では処理できないのであれば、そうした相談の窓口に相談してみてもいいと思います。

いまだに同性愛を揶揄したりする人はいて、そうした場面に居合わせると嫌な気持ちになりますが、そこで「何がおもしろいの」「そんなの笑うことじゃないでしょ」というふうに言ってくれる人がいると、この人は信頼できるかもと思えます。

とはいえ意見するのが難しい場合もあるでしょうし、一緒になって笑わない、流されて同調しないだけでも心強いです。僕はオープンにしている分、いろんな人からポジティブな声をかけてもらうことも多いです。

最近は母に「ゆうたくんと幸せにね」と言われ、相手が同性でも異性愛者のカップルと変わらないなと再認識しましたし、ゆうたの親御さんとも家族ぐるみでつきあっています。身近な人たちからの承認はとてもうれしいですね。

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