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肥料になるなら栄養がある? NASAも本気で研究をする「うんこの宇宙食」

石川幹人(明治大学教授)

2021年10月08日 公開 2022年03月07日 更新

 

うんこを再利用する可能性?

じつは宇宙探検について研究しているNASA(アメリカ航空宇宙局)を中心に、うんこを食べようとする研究が進んでいます。アメリカのペンシルベニア州立大学のクリストファー・ハウス教授によれば、うんこを食料にできる可能性があるそうです(参考「ペンシルベニア州立大学ニュースリリース」2018年1月日)。

ハウス教授らは微生物反応器にうんこをいれ、食料に変換しています。これは将来の長期宇宙旅行をより容易にする可能性を秘めているのです。食べものをたくさんロケットに積まなくても、自分たちのうんこをリサイクルすればよくなるからです。

このうんこ由来の食料の生産スピードは、トマトやジャガイモよりも速くなる可能性があるそうです。さまざまに味つけすれば、飽きることなくうんこが楽しめる「うんこのフルコース」が味わえる日も、そう遠くはないかもしれません。

でも、この食べものは、もう「うんこのにおい」はしないのでしょうか。人間は食べ続けるとにおいに慣れてきますので、納豆のにおいがだんだんと好きになるように、うんこのにおいがしても、「いいにおい」に感じられるようになるかもしれませんね。

 

そのままうんこは食べちゃダメ!

ここでひとつ注意!ハウス教授らの方法では、魚の水槽にも使われている無害な菌を使ってうんこから栄養分を抽出しています。この処理によって、有害な病原菌などは死滅しているということです。ですから、けっして皆さんはうんこをそのまま食べないようにしてくださいね。約束ですよ。

ちなみに、宇宙食以外でもうんこを利用しようとする試みが始まっています。健康な人のうんこを、腸の不調を訴える人の腸に入れる医学的な治療法が開発されました。腸の不調の一部は腸内細菌(腸内フローラ)のバランスに由来するので、健康な人の腸内の善玉菌を移植するのです。

これにより、腸内のバランスが改善し、健康的な腸を取り戻すことができるようです。じっさい、おなかが緩い、うんこが出ないという人が、善玉菌を移植することで健康な排便ができるようになった事例があります。

さらに、同様の移植によって、肥満が改善されたという研究結果もあります。この治療法は近いうちに広く使われるようになるでしょう。いやはや、じつに実のある話ではありませんか。

 

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